『被虐の孔奴隷2 ~ふたりに愛されて~』
 
<最終回>
 
 KHセフィロス
 

 

 

 

 バシッ

 遠慮のない力で、レオンが私の尻を叩く。恥ずかしいのと痛みで顔から火が出そうな心持ちだ。

「レオン、どんどん続けてあげてくれ。ちゃんと力を込めてね」

 パァンッ

 ビシッ

「あ、あぅッ……あんッ」

 尻を叩かれるたびに、口から声が漏れる。ひりひりと叩かれた部分が痛むのに、レオンに無防備な尻を叩かれていると考えるだけで、私の身体は興奮してしまう。

 半立ちだったペニスが、徐々に力をもって立ち上がり、射精できるのを心待ちにしてしまうのだ。

 レオンはそんな私に気付いているのかいないのか、尻を叩く手を休めることはない。

 何度も叩かれたその部分が、ジンジンと熱を帯びてゆくのがわかる。

 バシッ

 ビシッ

 パンッ

「あッ、あぁッ、あぃッ……あふッ」

「本当に君はイイ声で啼くね。お尻を叩かれて感じてるんだ」

 くいと顎を取られ、ジェネシスに笑われる。

 自分でも何故興奮するのかがわからないのだ。だが、こんな屈辱的な体勢で、尻を打たれるという辱めを受ければ受けるほど、私の身体は敏感に快楽を追ってしまう。

「……三十。終わったぞ、ジェネシス」

 無愛想にレオンはそういうと、私の身体を引き離した。

「……ふぅ、後はアンタたちでやってくれ。俺はもうのぼせた」

 湯にもほとんど浸かっていないのに、レオンは面倒くさそうに浴室を出て行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

「あぁ、レオンってば、本当に愛想のない子だね。さよならのキスくらいくれてもいいだろうに」

 ジェネシスが、ひょいと両手をあげて、呆れたようにそう言った。

「わ、私も……帰る」

 最後の矜恃を必死に守り、私は何とか起き上がった。もちろん、いきり立った前を隠すようにしてだ。

 だが、ジェネシスにそれは通用しなかった。

「あぁ、『セフィロス』。前がずいぶんと固くなっているようだね。それじゃあつらいだろう」

「…………」

「お仕置きで立っちゃうなんて、仕方がないね。躾けがいのある身体だよ、本当に」

 バスローブを身につけたジェネシスが、すいと私の側に身を寄せ、

「これは特別なご褒美だよ」

 とささやいた。マットの上に座らされ、足を大きく開脚した体勢を取らされた。

 目の前の鏡にそんな恥ずかしい姿を映し出され、私は動揺した。

 実際に痴態を目で見るというのは、何もわからず辱められているときよりも、遙かにショックが大きい。

「ほら、今、楽にしてあげるから。前を見て」

 ぐいと顔を正面に向けられてしまう。

 ジェネシスは強く頭をもたげた、私のペニスを掴み締めた。

 軽く上下に扱かれただけで、口からは甘い吐息が漏れてしまう。

「あッ、あんッ……もっとぉ……」

「もっと、強く擦って欲しいの?」

 ガクガクと身体を震えさせながら、私は頷いた。ジェネシスは扱きあげるペースを早め、先端に爪を立てたり、裏筋だけをくすぐったりしてペニスを弄んだ。

「あッ、いいッ……あうッ……あんッ」

「ご褒美だからね、そのままイッていいよ」

「あんッ……あぁ、ジェネシス……」

「キスが欲しいかい?」

 耳元でそうささやくと、前をいじりながら、私の唇に深い口づけをした。舌を強引に絡め取られ、中を舐められる。

「んッ……んぐッ……ふぐッ」

 じわじわと快感が強くなり、ペニスがじんと熱くなっていく。

 

 私はジェネシスに口腔を絡め取られながら、堪えていた劣情を吐き出した。

 目の前の鏡を飛沫が汚すのを、ぼうっとする頭のまま眺めていた。

「あぁッ……はぁッ……はぁッ……」

 息が苦しくて、マットの上に横倒しで頽れてしまう。ジェネシスはそんな私をたやすく抱え上げると、湯船に下ろしてくれた。自身もローブを脱ぎ捨て、となりに入ってくる。

「はぁ……はぁ……」

「まだ息が整わない?」

「はぁッ……はぁ……あたり……まえだ」

 辿々しい口調になりながらも、私はそう応えた。流し湯が心地よくて目を瞑る。

 

「今日はどうだった?屋外っていうのは新鮮だったと思うけど」

 ジェネシスがいかにも楽しそうに訊ねてくる。

「…………」

 無言のまま睨み付けても、悪ぶれるわけでもなくそのまま言葉を続ける。

「もうちょっと縛るのに適したシチュエーションで抱いてあげたかったね。そうそう、お尻は大丈夫?レオンは遠慮無く叩いてたでしょう?」

 同情めいた物言いに、ついカッとなって言い返す。

「き、貴様がさせたのだろう……! レオンにあんな……本物のレオンはあんなことはしない。あんな恥ずかしいこと……」

 無防備に晒した尻を叩かれるなど、あんな屈辱的なことを私に強いたりはしないはずだ。

「ふぅん、どうやら君の中ではレオンは聖域になっているようだね。でも、どうだろう?君の性癖を知ったら、その期待に応えようと頑張ってしまうかも知れないよ」

「元の世界では私は……私は普通の人間に見られている。こんな性癖があるとは……思われていない」

「……可哀想に。普通のセックスじゃ物足りないのに、我慢をしているの?」

「……違う!私は……私は……」

「おや、そろそろ時間のようだよ。扉の向こう側へ帰らなくては」

 ジェネシスがふいに時計を見上げてそう言った。

 私は下肢を隠すようにして、自力で湯からあがった。バスローブを引っかけ、髪も乾かさずに扉を開く。

「じゃあね、『セフィロス』。また次に会うときまで」

 背後から追ってきた言葉を聞くことなく、私は勢いよく扉を閉めた。