~この手をとって抱き寄せて~
 
<9>
 KHセフィロス
 

 
 

「それで、『セフィロス』。レオンも話に登場すると言ってたけど、彼はどんな人間なの?」

「……あの世界に出てくるレオンは、私の知るレオンではない」

 覆い被せるように、私はそう告げた。

「本物のレオンはいつでも私にやさしくて、守ってくれようとする剣士なのに……」

「ふふ、その分だと、夢の中ではレオンにも虐められちゃうのかな」

 紅のカバーをした文庫本を片手にジェネシスが笑った。

「夢の中のレオンは、私を孔奴隷扱いして、『総統』の命令に従って、ひどいことをする……冷たい軍人だ」

「ふぅん、なるほどね。それでもレオンは登場するんだね。……それは君の願望なのかもしれないな」

「…………」

「まぁいい。今この場には彼はいないのだから。さぁ、君の欲望はまだ満たされていないはずだ。夢を見る理由についてもね」

「……少なくとも本の夢を見るのは……納得がいかない。それがすべて私のせいだなんて。ジェネシスはあの本に何か暗示を掛けているんじゃないのか」

「ふふ、本当に面白いことをいうね」

 ぐいと私の手を引っ張って、体勢を崩したところを抱き止められてしまう。

「俺の答えはさっきも言ったとおり、君の内的欲求がそうさせるんだ。まぁ、敢えて言うなら、官能小説家ならば、そういう淫靡な夢を見るくらいの話を書けるようになりたいとは思うけどね」

「ん……」

 唇が重ねられ、やや乱暴に口腔を嬲られる。

「んぐ……ぐぅ……」

「君は欲深いんだね。キスの一つで肌が熱くなって……」

 耳元でささやかれ、身体の芯が火照ってくる。

「ほら、ここも、だんだん立ち上がってきた」

 にっちゃ、ぬっちゃ……

 いやらしい濡れた音が聞こえてくる。ジェネシスが先端をぐりぐりと押し広げ、竿の部分を撫であげる。

 

 

 

 

 

 

「あッ……んッ……」

「そら、もう吐息さえも艶めいてきて……まだまだいろいろとして欲しいんだろう?」

「わ、私は……」

「ここには君と俺のふたりしかいない。しかも今は『総統』と、孔奴隷なんだ。まだまだ可愛がって欲しい……そうだね?」

 さらに激しくペニスを擦り上げながら、ジェネシスがささやいた。

「あッ……あッ……ジェネシス……出ちゃう……」

「ダメだよ、孔奴隷は、またお仕置きが欲しいのかな?この本の孔奴隷はもっといろいろしてもらっているよね。君さえ良ければ、ここに書いてあるとおりにしてあげてもかまわないんだよ」

「やっ……それは……いや……だ」

「本当はして欲しいくせに……ふふ、思いの外、強情なんだね」

 ピタリと扱く手を止めて、ジェネシスが笑った。

「あ、あッ……く……」

 イク寸前で手淫を止められて、私は満たされないため息を吐く。

「ふふ、続けて欲しい……?そうだよね、ここはこんなに固く反り返っているんだものね」

 先端に溜まった汁を、親指でぐりぐりと塗り込んでジェネシスが言った。

「あ……ふ……い、いかせて……」

「それじゃ、可愛い孔奴隷になるかい?」

「そ、そんなこと……」

「無理じゃないだろう?君もよく知っている、この本の主人公になりきればそれでいいんだよ」

「く……ぅん」

「ほーら、ほら、イかせて……欲しいんだろう?」

 そう言いながら、またジェネシスは指を外してしまう。

「いや、やめないで……!早くぅ……」

「それじゃ、可愛い孔奴隷を虐めてあげようかな」

 ジェネシスはベッドのサイドテーブルから、何かを手に取る。それを器用に扱って、私のそそり立ったペニスの根元に嵌め込んでしまった。

 射精を止める器具、ペニスリングだった。

「奴隷の調教にはこれが一番だと思うんだよね。まさに飴と鞭だ」

「いやぁ……それはいや……外して……外してェ」

「外してあげるよ。たっぷり可愛がった後でね」

 そういうと、ジェネシスは私をベッドに這わせた。

「さぁ、お尻を高くあげて、足を開くんだ。恥ずかしいところが丸見えになるようにね」

「や、やぁ……」

「いうことが聞けないなら、いつまでもリングを嵌めたままにしてしまうよ」

 私の尻を撫でながら、ジェネシスがささやく。