〜 美女でも野獣 〜
〜 FF7 〜
<22>
第二部
 バレット
 

 

 

 

 ゴ…ゴゴゴ……

 

 地を揺るがし、門はゆっくりゆっくりと開き始めた。

 

 ひどい地鳴りにまともに立っていられない。

「危ねぇ!」

 ティファとエアリスを片手で掬い上げる。

「気をつけろよ、と!」

「お、おい! タークス野郎! このまま寝殿ごと崩れたりしねェだろうな!」

 シドのヤツが、槍を杖にへっぴり腰になりながらも、大声で咆哮した。

「だ、だだだいじょうぶだぞ、と! す、少なくとも、ツォンさんからは、んな話聞いちゃいねぇぞ、と!」

「て、てててめェが、聞かされなかっただけなんじゃねェだろうな!」

「んなわけあるかよッと!」

 

「みんな……大丈夫。たぶん……扉が開ききれば、落ち着くよ」

 エアリスが、ティファを支えながらそう言った。

 すると、まるで彼女の言葉に導かれるように、地鳴りはなりを潜め、徐々に静まっていく。

「エ、エアリス…… 何でわかるの?」

「ん……どうしてかな。ここ……懐かしい気がするの。さぁ、みんな内に入ろう」

「あ……ちょっと、エアリス!危ないって!」

「平気。まだ私たちは、石扉を開けただけよ、ティファ」

 エアリスは、そういうと、杖を構えることもなく、どんどんと奥に進む。その足取りに迷いはない。

「おいおい、嬢ちゃん! アンタに何かあったら、オレがツォンさんに殺されるぞ、と!」

 俺たちはその後を追うような型になった。

 

 

 

 

 

 

 皆、迎撃姿勢をとりながら、内部に進入する。

 なかはそれほど広くはない。ガランとした空間……いや、中央が周囲よりも一段高く作られている。

 その真ん中に装飾的な文様を彫り込んだ、台座のようなものがあった。

 さらにその中央に箱形が収められ、光も来ない場所なのに、深みのあるオレンジ色に輝いていた。

 

「あれ……だな?」

 赤毛に確認する。

「そうだぞ、と。ってまぁ、オレ様も見るのは初めてだがよ」

「祭壇の部分……火の気もないのに光ってる……」

「あれが……」

 

 祭壇は部屋の中央……東向きに設えられてた。

 不可思議な明かりを頼りに周囲を見回す。

 

「……とりあえず、化けモンの襲来もなさそうだな」

 シドにそう言われて少し肩の力を抜く。彼も同じ事を考えていたらしい。

 

「黒マテリア……あるよ。ここに浮いてる」

 エアリスは台座の上にさっさとあがってしまったらしい。

 そこには書籍を模した石造りの装飾があり、その上部に円筒形のホログラムが現れていた。

 光はどうやらそのホログラムが放っているらしい。

 

「……黒マテリア……!」

 ティファが吸い付けられるようにエアリスの隣に立った。

「うん……これ持って行かなくちゃ……なんでしょ?」

 目を伏せてエアリスがつぶやいた。

「……クラウドたちの命がかかってるから。できることなら、セフィロスには渡したくないけど……後から奪い返すしかないわね」

 ティファが勇ましいセリフを口にするが、それがいかに難しいことかはわかっているはずだ。

 だが、今はどうにもならねェ。

 そいつをもってセフィロスのところに行かなければ……

 

「おおっとォ。黒マテリアをとるのは、ちょっと待っとって。そいつは機械仕掛けの私がやりましょ」

 唐突にケット・シーが申し出る。地下に潜ってから妙に口数が少なかったせいか、やや鼻白んだ空気が流れた。

 だが、確かに黒マテリアは、不思議な仕掛けの中に浮いている。素手でとるのは危険かもしれない。

 

「んじゃ、頼むぜ、ケット・シーよ」

 皆も一様に頷いて、台座から降りる。

「皆はん、扉の方に避けとって。なんや仕掛けがあるかもしれん」

「ケット・シー、ひとりで大丈夫?」

「平気や、エアリスはん。ほないくで」

 ケット・シーの小さなにゃんこのほうが、衒いもなくヒョイと黒マテリアを取り上げた。

 

 ……その瞬間だ。

 さきほどとは比べものにならないほどの、縦揺れが寝殿を襲った。