〜 ALL STARS 〜
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<10>
 
 レノ
 

 

 

 

 

 どうも。

 オレ、レノ。

 いや、オレレノじゃなくて、『オレ、レノ』だぞ、と。

 

 オレたちタークスは、当初の予定通り、クラウド始め、あの家に住まう者すべてを、ヘリに担ぎ込んでミッドガル新羅本社に到着した。

 最初にちょっと説明しておくと、ウエポンで壊滅した本社は、もちろんそのまま捨てた形になり、そこから数キロ離れた場所が現在の神羅カンパニーのOfficeだ。

 ヒーリンほど田舎ではないし、最近は多くの商業施設が展開し十分文化的な生活ができるように整備されている。

 その中心地にそびえ立つのが、我が神羅カンパニーだ。

 以前のような無骨な戦闘ビルもどきではなく、都会的で精錬された雰囲気のオフィスだ。ちょっとオレ的には物足りないのだが。

 最上階には社長の居住区があり、その下のフロアは、数階分、今回のような特殊な客人、要人を宿泊させるための施設が整っている。まぁ、高級ホテルみたいなつくりだと思ってもらえればいい。

 そのフロアの下から、一部職員の宿泊施設、通常の職場……オフィス区間になる。60階の高層ビルなのだ。

 クラウド始め、彼らを滞在させるのは、当然客人用の秘密フロアであった。

 

 さて、それはよいとして。

 オレの運転するヘリには、セフィロス他数名が乗った。彼は堂々と運転席のとなりに陣取ると、何のてらいもなく、「よぉ、赤毛」と声を掛けてきた。

 そう……かつて神羅で一緒に仕事をしていたころのように。

 そして、オレも何の迷いもなく、

「あ、どーも。久しぶりだぞ、と」

 と応えたのであった。

 なんだかそのやりとりは、メテオ事件以来、ずっとオレの中で待ち焦がれていたようで、でもなんだかあまりにも拍子抜けした気分で……不可思議な感覚だった。

 セフィロスは心底神羅を呪っていると思っていたから。当然、未だにそこの社員としてタークスに居座るオレのことも、同じように憎んでいるのがあたりまえだと思っていた。

 実際、ニブルヘイムを破壊し尽くしたときの彼は、怒りと憤りで狂気に陥っていたのだから。

 だが、今、目の前にいるセフィロスは、神羅のトップソルジャーとあがめられていた頃とまったく変わらない。

 それがオレには不思議だったのだ。

 

 

 

 

 

 

「なんか、すまんと思ってるわ。今回のこと」

 そんなふうに話を切り出すと、セフィロスは「ケッ」と悪態を吐いた。そう、昔のように偉そうに足を組んで。

「別にテメェのせいじゃないだろ。それに頼み事を受けてやるかどうかは、ルーファウスの話を聞いてからだ」

「ああ、そいつはもっともだぞ、と」

 そういってから、オレの斜め後ろの席で、子猫を抱いてうつむいているヴィンセントさんに声を掛けた。

 ……なんだかその悄然とした姿が痛ましくて。

「あの、ヴィンセントさん。この前の事件では迷惑掛けてスンマッセン」

「ああ、まったくだよなァ、ヴィンセント。ったくテメェら神羅の人間は、他人に迷惑掛けないと生きられないのか?」

 セフィロスが荒々しく茶々を入れる。

「アンタに言ってるんじゃないぞ、と」

 といなしておいて、もう一度、ヴィンセントさんへの言葉を続ける。

「いや、ホント、申し訳ないデス。今回もアンタが一番の被害者って聞いて。治療薬はまもなく完成するらしいッス。そうしたら、すぐに……」

 オレはずいぶんと必死になって語りかけていた。するとヴィンセントさんは、ようやく顔を上げてくれた。

 彼をこんな間近で見たのは初めてだったのだが……

 ヴィンセントさんは、クラウドのヤツが自慢するように、恐ろしいくらいにキレイな人だった。いや、カタカナで形容してはいけない雰囲気だ。

 あまり健康的とは言えない、透き通るような肌の色…… それとは対照的な血の色をした紅の瞳。背丈は180センチを超えていそうだが、どこもかしこも造りが華奢だ。

 特に今みたいにセフィロスなんぞを側に見ていると、気の毒なくらい儚げに見える。

 黒のチビを懐に抱き、不安げに見つめられると、クラウドじゃないが、バッタのように抱きついて、「大丈夫だから!」と叫んでやりたくなりそうだった。

「ちょっとォ、うちのお姫様を不躾にじろじろ見ないでよね」

 ヴィンセントさんのとなりの、銀髪ロン毛がオレのバックシートを足蹴にしやがった。

 ああ、ちなみにルードは、一番奥の席で無言のまま、カダージュとロッズのトランプ遊びに付き合わされている。

「おい、危ないぞ、と! こいつは普通のヘリよりでかいんだ! 機体が傾くと墜落するぞ、と!」

「バカ言わないでちょうだい。俺達が無事にミッドガルに着けなかったら、君のところの社長が困るんじゃないのぉ?」

 チッ、このむかつくロン毛め!

 こいつとは例の一件で闘ったが、到底勝ったとは言えない。おまけに女顔負けの美貌なのだ。ヴィンセントさんもキレイ……いや、『綺麗』な人だが、美しさの質が異なる。

 ヴィンセントさんには保護欲をそそられるが、こいつ……ヤズーとかいう男にはまったくそんな印象はない。

 それに本来なら、自称恋人のクラウドが怒鳴りつけてくると思われるシチュエーションなのだが、乗り物酔いする彼はヴィンセントさんの隣で丸くなっていた。

 ほんの一時間程度のフライトとはいえ、ぶっちゃけオレは相当疲れてしまった