〜 ディシディア ファイナルファンタジー 〜
 
<20>
 
 スコール・レオンハート
 

 

 

「逢えねーなァ!」

「ずっと探してんのによ〜」

「こんなに待っているのにね」

 ティーダ、ジタン、セシルの順にため息を吐く。

 セリフだけを耳にすると、まるでつれない恋人を待つヘタレ男たちの挽歌だ。

「もう少し、行動範囲を広げるべきだろうか……」

 今日のねぐらを見つけた後、俺はキッチンでひとりつぶやいた。

「手伝うよ」

 と、となりにセシルが並んだ。

「あ、ああ、すまん。……クラウドはどうしている? 大人しくしているか?」

「プッ…… スコール。それじゃ、まるで君、クラウドのお父さんだよ」

 ……お母さんと言われなかっただけよかったか。

 確かに自分でも、やや過保護かと感じてはいたのだが。

「……せめて保護者といってくれ。自分でもやや神経質になっていると思うが…… どうしても心配でな」

「ううん、いいんじゃないかな。ああみえて、クラウド、けっこう繊細だから。君がそうして気持ちを添わせてあげるのはね」

「…………」

 

 

 

 

 

 

「……なぁ、スコール。ホントにいいのかな。こんな作戦…… 他のみんなだっていろいろあるのに……」

「…………」

「確かに四人がかりなら、ヤツの動きを止めることは可能かもしれないけど…… でも、セフィ……力も強いし……」

「…………」

「ねぇねぇ、せめてヤツの腕に飛びつくの俺にやらせてくれない? 他の連中ばっか危険な目に遭わせるのなんて…… ねぇ、スコール、聞いてる!?」

「……クラウド。自分のベッドで休め」

 俺は背中にくっついてくる、ひどく体温の高い男にそう言った。

 最近、彼はひとりで寝ようとしてくれない。いつも俺の寝台に潜り込んでくる。

「なんだよ、別にいいじゃん。あったかいし」

「……だったら、大人しくしていろ」

「だってさ……」

「この前も話しただろう。カオスの軍勢の中で、唯一完全に単独行動を取っているとわかっているのはセフィロスのみだ。他の仲間たちの因縁相手が大挙してあらわれるのなら対応のしようもあろうが、実際居場所さえわからない」

 クラウドに背を向けたまま、俺はそう言い聞かせた。

「そ、それはそうだけど……でも……」

 不平そうな声が背中に響く。

「とにかく。今もっとも現実的な相手はおまえを狙ってくるセフィロスなんだ。彼を手中に収めることができれば、何らかの形で他の者たちの情報を引き出すことも可能かも知れない」

「セ、セフィを捕まえてゴーモンとかすんの……?」

「拷問?……まさか。そんなことをするつもりはない。一番の目的は彼の記憶を引き出すことだ。仮にそれが不可能であったとしても、おまえの命を狙うことだけはやめさせる。それについては手段を選ばない」

「ス、スコール……」

「もう寝ろ。朝、キツイぞ」

 俺はそう言いながら、一度身を起こし、毛布を引き上げクラウドの肩を覆った。

「うん……」

「どうした?」

 海の色の瞳が、今にもこぼれ落ちそうなほど揺らめいている。

「ううん。なんでもない。……ゴメンね、いつも心配ばっかかけちゃって」

「……気にするな」

「…………」

 物言いたげな彼に、さらに言葉を重ねる。

「……そんな顔をするな。俺がおまえの立場だったら、やはり同じように不安だし、苦しむと思う。当然のことだ」

「ん……」

「……セフィロスの記憶が戻るといいな」

「うん……」

 ギュッと毛布を握りしめるクラウド。

 大剣を扱うにしては、白くて形のいい指が筋を張る。

 俺は横になったままそれを解きほぐすと、軽く握ってやった。

「スコール……」

 少し驚いたように俺を見たが、すぐに笑ってくれた。

「……確かにおまえは体温が高いから…… となりに寝てくれると寝付きがいい」

 そんな言葉を返し、ランプを消した。