Fairy tales
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<13>
 
 クラウド・ストライフ
 

 

 

 

 

 

「ふーん、まぁまぁかなァ。ねェ、兄さん、これどう? 似合ってる?」

「別に着れりゃなんでもいいだろ。ヤズーさっさと決めろよ! ホントはシンデレラちゃんのドレスを見立てにきたんだぞ」

「そりゃそうだけど、俺たちだって、いつまでもコスタ・デル・ソル仕様ってわけにはいかないでしょ。風邪引いちゃうよ」

 そういながら、鼻歌交じりに服を選ぶヤズー。

 

 たっぷり睡眠をとった翌日。

 俺たちは、のんきにも朝食兼昼食を食べてから、さっそく行動を開始した。

 いずれにせよ、シンデレラちゃんのところへは、夜になってからじゃなきゃ行けないし(いくら抜け道を使っても、男六人では目立って仕方がないだろう)、昼間は彼女にも時間がなかろうから。

 昨夜ゲットしたポスターによると、舞踏会の期日は三日後。

 あまり時間に余裕があるとはいえない。それゆえ、今日はヤズーの慧眼を頼りに、シンデレラちゃんに似合うドレスを探しに来たのだ。

 いや、その前にまずは俺たちの格好をなんとかしないと。いつまでもコスタ・デル・ソル仕様のノースリじゃ風邪引いちゃう。

 もちろん、街中の様子などまるきりわからないから、洋品店……というかブティックを見つけるだけで時間がかかってしまった。

 

 

 

 

 

 

「おやおや、カダージュ、かわいらしいな。どこかの貴族の子弟のようだ。ロッズのも凛々しくて清潔感がある。ふたりとも上手に選べたな」

 できのよい子供を誉めるように、なんども頷き、微笑むヴィンセント。そのくせ、彼は一枚も選ぼうとはしない。

「えへへへ〜、ねぇねぇ、ヴィンセントのは? ヴィンセントだったら、どれでも似合うよね!」

「あ、でも、せっかくだから、普段とは違うっぽいののほうがいいよ、カダ」

「あ、あの……いいのだ、私は。別にこのままでもそれほど違和感は……長袖だから寒くもないし……」

 何も恥じる場面じゃなかろうに。

 まったくヴィンセントほど、自分の魅力をわかってない人もめずらしいと思う。

「ハイハイ、ちょっと待ってね! これ会計済ませちゃうから! 俺がすぐにコーディネートしてあげる!」

「え……あ、あの……いや……わた、私は……」

「いいからいいから、ちょっと待ってて! スイマッセーン!」

 物怖じしないヤズーは、さっさと店の女の子を呼びつけて手早く会計をすませてしまった。あの間にもなにやら店員にいろいろ話を聞いている。

 情報収集か!

 さすがヤズー!ぬかりないな!

 

「おい、おまえら、済んだか。さっさとしろ」

 乱暴にコーディネートルームのドアが開かれ、大股でセフィロスが出てきた。

 試着室を利用して、さっさと着替えを済ませてしまったのだろう。セフィロスはしっかりこの世界の住人というファッションに変わっていた。

 

 ……元恋人の欲目なのだろうか。

 やっぱ……セフィってすっごくかっこいい。

 セフィロスの正装は神羅にいた頃、何度か見たことがある。

 会社のパーティでってこともあったし、テレビに映った彼を見たりもした。その頃も「わ〜、セフィかっこいい〜」って、ザックスたちと言っていたはずなんだけど……

 

 銀糸を織り込んだシルバーグレイのシャツ。さりげない光沢は側に寄らないとわからない程度。

 アスコットタイをシンプルなピンでまとめ、この時代特有のファッション……皮革のベストに、ダークグレイの燕尾服風の上着、ズボンはいろいろな形のものが売っていたけど、敢えてシンプルな細身のものをセレクトしたのだろう。ジャケットと同系色のパンツは、嫌みなほど、彼の足の長さを強調していた。

 普段、ノースリーブなど、気楽で肌の露出が多い服を見ているせいか、セフィロスの正装は妙に禁欲的で……ちょっと目のやり場に困ってしまうほどだ。矛盾しているけど(笑)

 しかもタイも透かしの刺繍や、レースを編み込んだものだから、エレガントな雰囲気でまさしく青年貴族で通りそうだった。

 あー、ここまで誉めちゃうのは、やっぱ、欲目かもね。