In the middle of summer
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<16>
 
 クラウド・ストライフ
 

 

 

 

 

「な、おまえ、もう、ヤメロ。別れろ。いいかげん、愛想がついたろ?」

 セフィロスのティーカップにアールグレイのおかわりを注ぐヴィンセント。その彼に向かって、吐き捨てるように英雄が言う。

「セ、セフィロス……」

 ポットを持ったまま、立ちつくすヴィンセント。

「もう十日も前の話だろ!ヴィンセントには何度も手をついて謝った! ……しかたないじゃんか、我慢できなかったんだもんッ!」

 俺はガツガツと夕食のデザートを頬張りつつ怒鳴り返した。ちなみにヴィンセントの手作りのアップルパイだ。

「『だもん』じゃないだろーが、エロガキ! 貴様の下半身に理性はないのか!」

「セフィロス……もう、それくらいで……クラウドも反省しているのだし」

 俺の想い人が、間に入ってとりなしてくれる。

 

「おまえもいいかげんにしろ! お人好しにも程があるぞ!」

「あ、あの……すまない……」

「そこはヴィンセントがあやまるところじゃないだろッ! なんだよ、セフィだって、ずっとずっと好き放題やってきたくせにッ!」

「なんだとっ! もういっぺん言ってみろ!」

「好き放題やってきたくせにッ! 昔っからアンタは自分のことばっかり棚に上げて!」

「この、クソガキッ! まだしつけが足りないかッ!」

「イ〜〜〜〜ッ!だ」

 俺はセフィロスに悪態をついてやった。

「おい、ヴィンセントッ! こいつは貴様の身体が欲しいだけだぞ? 突っ込んで抜ければそれでいいんだろッ」

「セ、セフィロス……そんな直接的な……」

 露骨な物言いに、頬を真っ赤に染めて必死に止めようとするヴィンセント。こんな場合なのに、その様子があまりに健気で可愛くて、下半身が熱くなってくる。

 いやいや、これでは本当に、俺はケダモノになってしまう。

 

「ヴィンセントに変なこと言うなッ! 好きだからヤリたいんだろッ? だれでもいいってわけじゃないんだ! 俺はヴィンセント以外の人とそんなことしないもん! 昔のアンタと違ってね!」

「黙れッ! オレのはほんの遊びだ。だいたいおまえが物覚えの悪い子どもだったのがいけないんだろうッ 仕方なく他の相手を見繕っていただけだッ!」

「それがどんだけ、相手を傷つけると思ってるんだよッ! サイッテー!」

「あの非常事態で、オレに迫ってきたおまえに言われたくないな! このボケナスがッ!」

「ふ、ふたりとも……お、落ち着いて……」

 

 

「ねぇ、ヤズー、あっち、なんか、ケンカ、してるよ? 僕、よくわかんない」

「あー、いいんだよ。汚れた大人の痴話ゲンカだからね。清らかなカダには聞こえないんだよ」

「そーなの?」

「そうだよ。カダはあんな大人になっちゃダメだよ」

「うん、僕、ならない!」

「イイコだね〜、カダは……」

 

「オ……オイィィィィ! ちょっ……そこーッ!」

 冷ややかな瞳で俺をスルーする、ヤズー。

 興味深そうに、ちらちらこっちを見るが、ヤズーに促されてパッと目を背けるカダージュ。

 

「じゃ、お休み、ヴィンセント」

「おやすみ〜、ヴィンセント〜」

 同じタイミングで、にっこり微笑んであいさつをするヤズー&カダージュ。

 完全に無視される、俺とセフィロス。

 

 俺とセフィロスは、互いに顔を見合わせ、

「フンッ!」

 とばかりに、そむけあったのだった……