Radiant Garden
~コスタ・デル・ソル in ストライフ一家~
<36>
 
 セフィロス
 

 

 

「うああぁッ!」

「なんだよ、セフィロス。大声をあげて」

 へらへらと目の前で笑っている、だらしのない顔……いや、こいつは女にもそれなりにモテていたから、一応は美形なのだろうが、今のオレにとっては、この地に巣くう化け物どもよりも遙かに「バケモノ」であった。

「さ、さわんな!気色悪ィ!」

「おい、セフィロス……さっきからどうしたんだ」

「こいつのことはいいから、早く行け、レオン!」

「その物言いはないだろう。アンタもそうだが、ジェネシスだって、俺たちに協力して城まで来てくれているんだ」

 四角四面な物言いは、レオン以外の何者でもない。

 

「ああ、いいんだよ、セフィロスは気分屋だからねぇ。さぁてと、じゃあ武器庫とやらに行ってみようじゃないか。俺もこの城に隠された文明の利器には興味がある」

「そうか。まぁ、では……」

 レオンもジェネシスにまで促されて、おとなしくアンセムの私室にカギをかけた。必要な資料はリクがもっているのだから、この部屋にはもう用はないというのだろう。

 そうだ、もう用事はないのだ。オレは二度とこの部屋には入らない。

 

「……何かあったのか、ふたりとも?」

 レオンが不思議そうな面持ちで、オレとジェネシスを眺める。そしてさきほどカギをかけた部屋をだ。

「なんでもねェ」

 オレは無愛想にそう答えた。

「ああ、うん。『若きセフィロスの悩み』ってところかなぁ。あっはっはっ」

 ジェネシスのド阿呆が脳天気に笑う。

「若きって……いいかげん、そんな年でもないだろう」

 と、生真面目にレオンが言い返した。まったく空気を読まない男だ。

「テメェも真っ正面から話受け止めてんじゃねぇ!あぁ、鬱陶しい……気色悪い……」

「おかしなヤツだな、セフィロス。まぁいい。こちらだ」

 そういうと、レオンはまたもや何やらコードを入力しに行った。

 

 

 

 

 

 

(ねぇ、セフィロス……)

 と、ジェネシスの野郎が、リクに聞こえないように声をかけてきた。ゾワッと嫌な汗が噴き出すが、さすがにそう何度も声を上げたりはしない。

(な、なんだ……! オレ様の半径3メートル以内には近寄るな!)

 しっしっと手振りで離れるように促す。

 

(そんなにつれないことを言うなよ。ちゃんと『もうひとりのセフィロス』とおまえは別人だって認識した上でのことだったんだから)

(たりめーだ!フザけんな!)

(……そんなに突っ慳貪にするなって。レオンたちにおかしく思われるだろう?)

(……チッ!)

(まったく……その悪態を吐くクセは相変わらずだねぇ。まぁ、そんなことより……あの好青年にもうひとりの『セフィロス』のこと教えてあげなくていいの?)

 ジェネシスがさらに声を潜めてそうささやいた。

 だから、耳元で言うなっつーの!そういうところがよけいに気色悪く感じるんだよ!

 

(彼……相当、あの『セフィロス』のことを気にかけていたようじゃないか。13機関とやらが頻繁にあらわれるようになってから、まだ一度も姿を見かけないと……)

(…………)

(ねぇ、聞いてる、セフィロス? さすがにこのままだんまりっていうのは、気の毒すぎるんじゃないかなぁ。自警団の団長として話したいこともあるかもしれないし)

(……わかっている! だが、今、アイツに教えてみろ。わざわざ地下まで降りてきたってのに、ひとりですっ飛んでいくぞ)

(ああ、まぁ、確かにねぇ。ちょっとタイミングを計り損ねたかなぁ)

(だいたい、テメェがあの野郎と、くだらん真似をしやがるから……)

 

「セフィロス、ジェネシス」

 ごほんとひとつ咳払いをして、リクが割って入った。

「……もう、武器庫の扉開いているんだけど」

 冷静な声で促され、オレたちはずいぶんと気まずい思いをすることになった。