〜 修習生・研修旅行 〜
〜 神羅カンパニー・シリーズ 〜
<17>
 ザックス・フェア
 

 

 


 ……30分後……

 ポイントE−1地点。

 テントから、わずかに戻った場所……クラウドの姿が見えなくなった崖を通り越し、少し降った地点だ。

 俺はジェネシスに言われた場所に突っ立っていた。ジェネシスは一時間くらいしたらと言っていたが、結局なにも手につかず、ここへやってきたのだ。

 テントに残っていても、できることなどないから。

 修習生のことは、カムランに任せてあるし、俺のすべきことなど、何も残っていないように思えて…… ただ、クラウドの班員たちにだけは、ジェネシスが来てくれる旨を伝えておいた。少しでも安心させたくて。

 場合によっては、現場を見ている彼らの話を聞かせてもらわなければならない可能性もあったから。

 なにかあれば声を掛けるから、今は寝ろと言っておいたが、なかなかそうもいかないのだろう。普段はクールなルーネスが、一番参った様子であったのが印象に残った。

 

 ……40分経った。

 

 雨は徐々に落ち着きつつあるが、突風がやまない。 

 ああ、クラウド…… どうか無事で居てくれ……!必ず助けにいくからな!

 フワフワのチョコボヘアに、実年齢よりも幼く見える面差しが脳裏に浮かぶ。思わず涙がこぼれそうになって、慌てて乱暴にぬぐった。

 

 そのときだった。

 右方の樹林が揺れたのは。

 

 

 

 

 

 

「……ザックス? ああ、おまえかい」

「ジェ、ジェネシス……!?」

「ああ、もちろん。やれやれ暗いな。明かりを点けてくれよ、持っているだろう?」

 俺は慌ててライトを点けた。ペンシルライトの大きなヤツだ。

「やれやれ、さすがに風雨のひどい山道っていうのは厄介だね。急いだつもりだったけど、大分時間がかかってしまった」

 いつもの紅のレザーコートが、ひどく雨に濡れ、ところどころに、葉と土がこびりついていた。ジェネシスはとてもお洒落な男だったから……こんなふうに泥まみれになっている姿なんて、想像もつかなくて…… でも、彼は今、そんなことなど顧みもせず、俺の願いに応えてくれていた。

「……ジェネシス……すまん…… 本当に……悪い……」

「ほらほら、落ち込んでいても仕方がないだろう。大分気温が下がってきている。急ごう」

「あ、ああ……そ、そうだよな」

 まったくだ! しゃんとしろ、俺!

「うん。一旦、おまえたちのテントに行こう。確か、チョコボが落ちたところを見た子供たちが居ると言っていたよね?」

「あ、ああ、同じ班の修習生たちだ」

「そう。おまえも話を聞いただろうが、俺も直接話してみたいんだ」

「もちろん。奴らには寝ろって言っておいたけど……とても無理そうだったから」

「チョコボはいい先輩と友人に恵まれているようだね」

 そういうと彼は声を立てずに笑った。

「ジェネシス……」

「さ、行くぞ、ザックス!」

 彼は勇気づけるように、俺の肩をポンと叩いた。

 力強い声が、ひどく頼もしく感じた。