〜 告 白 〜
〜 神羅カンパニー・シリーズ 〜
<26>
 ジェネシス
 

 

 

「じゃあな、ジェネシス。後で執務室に顔を出すんだぞ」

 そう言いながらアンジールも立ち上がる。

 ソルジャークラス1stは暇なのかと勘違いされそうだが、重大な事件や危機回避を担うのが俺たちなのだ。それゆえ、ミッションのないときは比較的ゆるりと過ごしている。

 もっともアンジールのような生真面目な男は、クラス2ndの任務に協力を申し出たりなど、それなりに忙しそうではあるが。

「ああ、わかってる。毎度、すまないな、アンジール」

「セフィロスもちゃんと安静にしているんだぞ。そりゃ、俺たちソルジャーは普通の人間よりは遥かに強靱な肉体を有しているが、それでもやっぱりダメージは蓄積されるんだ。今回が良い機会だな。だから……」

「はいはい。俺がよく言って聞かせるよ。おまえは安心して仕事に励んでくれ」

 俺がそう言って送り出すと、アンジールもまた、やれやれといった風に頭を振り、病室を出て行った。

 

「よし……邪魔者どもは消えたな」

「セフィロス……そのセリフ、俺とふたりきりで居るのが幸せという意味合いならば、たいそう嬉しいんだがね」

「気色の悪ィこというな。反吐がでる」

 二の句も告げなくなるような、ものすごい否定文を口にすると、セフィロスはベッドから身を起こした。

 痛みはあるのだろうが、もはや重篤な状態ではないのだろう。

「それよりクラウドのことだ。あの子も頭を打っている。精密検査は受けさせたんだろうな」

「もちろんだよ。俺があの場で兵士に命じていたのも知っているだろう?」

「結果は? 問題なかったんだろうな? それともおまえ、オレに何か隠してんじゃねーだろうな!?」

 さきほどまでとは、打って変わった真剣な表情で訊ねるセフィロス。彼の心はもう完全にあの小さな子供のとりこらしい。

「あのな、ちょっと落ち着け、セフィロス」

 頭に血の上った銀色狼に、辛抱強く説明する。

「いいか? あの子はただ一発殴られただけだ。確かに身体の小さな子供には可哀想なことではあったけど、頭にひとつたんこぶをつくったのと、唇の端を切っただけだよ」

「…………」

「そもそも身体を張って闘った、おまえの怪我を基準に考えるほうがおかしい」

「…………」

「もう床上げも済んでいるし、傷口にバンソコ貼って、寮の部屋で安静にしているんじゃないかな」

 やや乱暴な口調でその後の経過を教えてやった。俺だとてチョコボっ子のことは気に入っているのだが、目の前で負傷したセフィロスが、あの子の身を案じてアタフタしているのは良い気分ではないのだ。

 

 

 

 

 

 

「な? もうわかっただろう。あの子のことよりも、まずは自分の身体の心配をしろ」

「そ、そうか…… よかった……」

 小さくつぶやくと、彼はハァ……と深く吐息した。

 痛み止めが切れかかっているのか、セフィロスは無意識の動作で胸の下を押さえた。骨折まではいかないが、ヒビが入っている場所だ。

「クラウドが無事なら……それでいい」

「…………」

「あの子に告白するために誘ったのに……あんな目に遭わせてしまって……」

「……誘ったのは俺だろ」

 俺は口出しをしたが、セフィロスはほとんど耳に留めていないようであった。

「オレがついていながら、痛い思いをさせてしまったからな。この上、あの子の身体になにかあれば、悔やんでも悔やみ切れん。テロリスト全員、この手でぶっ殺しても取り返しが付かん」

「……さぁ、もう横になれ。面会謝絶というのは方便だが、医者だって極力安静にと言っていたんだぞ」

 セフィロスをベッドに押し戻し、無理やり毛布を上から掛けた。パジャマ嫌いのセフィロスは、上半身裸に包帯を巻き付けているので、何も知らない人間が見ると、驚いてしまうだろう。