〜 告白 〜
 第二章
〜 神羅カンパニー・シリーズ 〜
<6>
 ザックス
 

 

 

 ……いったい何なんだろう?

 緊急招集って……俺はソルジャーになってから、一度も聞いたことがない。

 

 いや、遠方へ派遣された部隊の増援として、いきなり集合を掛けられたことはあったが……

 俺たちへの呼び出しと、ジェネシスが顔色を変えた、今回の招集とは緊急度のレベルが違うのだろうか。

 彼は連絡を受けた後、ふたたび携帯を弄って、いくつかのメールを送信したようだ。

 

 その速さといったら……今ドキの女子高生も敵わないほどの指捌きだ。

 この人、普段、何と戦っているだろう。

 

 俺の前を走っていたジェネシスは、統括室が視界に入ると、いきなり足を止めた。

 

「おい、ちょっ…… 急に止まるなよ! 早く行こうぜ」

 急かす俺に、彼は少し待てという仕草をみせると、ツルツルにコーティングされた壁面を向いた。

 鏡面仕様になっている大理石プレートには、ジェネシスの整った立ち居ずまいが映し出されている。

 わずかに乱れた髪を、手櫛で素早く整えた。この緊急時にあろうことか、だ。

 

 ああ、ホント、この人、ウザイッ!

 いざというときには頼りになるし、状況判断能力はピカイチだとは思う。

 

 だが、しかし!

 こいつのこういうところ、絶対ついていけない。

 

 

 

 

 

 

「よし、もういい。急ぐぞ、ザックス」

「わかってるよ。……ぐずぐずしてんのはアンタだけ」

 俺の物言いに不満を感じ取ったのだろう。

 彼はくどくどと講釈を垂れた。

「身だしなみに気を配るのは、紳士として当然のことだ。ましてや、まだまだ幼いおまえとは異なり、俺くらいの年になれば尚のこと」

「はいはい」

「……おまけに統括室への呼び出しだ。髪など乱していたら、あの伊達男に何をいわれるかわからない」

「アンタいったい、何人の敵がいるの……」

 俺はうんざりと独りつぶやいたのであった。聞こえる大きさではないと思わなかったのだが、地獄耳のジェネシスはしっかりと反論してきた。

「フフフ、男は勝手に敵愾心を抱いてくる輩が多いねェ。もともとの素材の違いなんだから致し方がないのに。ああ、でもそのかわり、女性はすべて味方だよ」

「ああ、だろうな」

「おまえはいい男だよ? ザックス」

「何いきなりホメてんの? 気持ち悪ィんだけど」

「気に障ったのかなぁと思って」

 そういって、ニヤニヤと相好を崩した。

 にやけなければ、どっかの貴公子とか言われても、信じてしまいそうな人間なのに。