〜 ディシディア ファイナルファンタジー 〜
 
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 ラグナ・レウァール
 

 

 

 

「ラグナ! 行ったぞ、そっちだ!」

「オッケェ〜! 裏庭にはいかせるわけにはいかないからね〜!」

 そう、パパ的には、できることなら息子の戦いに手を貸したくてたまらないところなのだが、ここは我慢、我慢のラグナさんなのである。

 息子の相手は『魔女』だという。

 ずっと倒すべき相手として、元の世界でも敵対し、その足跡を追い続けてきた。

 だったら、ここは彼の力を信じ、パパはその戦いに邪魔が入らないよう頑張る……!

 これぞ、父の愛!!

「ブホッ!」

 『父の愛』を表現するべくポーズィングしていたところ、真横からヘンな触手で張り飛ばされた。

 イミテーションは空気を読まなくて困る。

「おい、ラグナ! この馬鹿者がッ! 敵は次から次へと来てるんだぞ!」

 怒りっぽいライトニングくんが、次から次へとイミテーションを斬り倒しながら、怒鳴りつけてきた。

 まったく、もう、可愛い女の子なのに! 言葉遣いがきつくてきつくて…… パパ、傷ついちゃうよ。

 一緒に戦っているティファちゃんは、クラウドくんの一件以来、どうも元気がないのだ。彼女のことも、パパ、心配!

 というわけで、最愛の息子が気にならないわけではないが、屋敷の表門を三人で守っているのだ。

 それに、話によると、スコールにはセフィロスがアシストとしてついているという。

 フツーの戦闘なら、うらやましすぎて、一発殴ったくらいじゃ許せないが、一世一代の敵を相手に、セフィにアシストしてもらえているのは僥倖だろう。

「おい、ラグナ! 大丈夫かよッ!」

「油断しちゃダメッスよ!」

 ジタン、ティーダの順に応援に駆けつけてくれた。

 この数のイミテーションだ。ひとりでも応援が欲しいところ、助かった。表門の最前線で戦っていたライトニングくんと、セシルがわずかに安堵の息を吐いたのに気づいた。

 いや、もちろん、このラグナさんも大活躍……のつもりだが、やっぱね、これ、年齢的にも最年長だろうから。パパだし。

 そんなわけで若者が、応援に駆けつけてきてくれたのは、本当に嬉しいことなのだ。

 

 

 

 

 

 

「ジタン、ティーダ! ありがとね! いや、コレ、ホント、助かったワ! イミテーションのやつらが次から次へとね〜」

「まぁ、こんなモンだろ!」

「スコールも頑張ってるしな!」

 口々に応えてくれる彼らに、気になっていることを訊ねる。

 もちろん、スコールの仲良しさんである『彼』のことだ。

 ……姿が見えないところを見ると、納得してくれたのだろうか。

「なァ、クラウドくん、大人しくしてる? スコールの状況、もうバレてるんだろ?」

「バレバレっすよ。クラウドって、我が儘で自己中のくせに、カンはいいんスよ」

 ティーダが言い得て妙!と手を打ちたくなるような返答をした。

「いやもう、説得すんのが大変」

「ってゆーか、最後まで言わずにおこうと思ってたけど、俺たちのほうが説得されちゃった感じッスよね。クラウド必死なんだもん」

「そうそう。あんなふうに言われちゃうと、さすがに黙ってられないよな」

「あー、ですよね〜。クラウドくん、素直ないい子だもんね〜。ところでクラウドくんって、どっちのこと心配してるんだろ。スコール? セフィ?」

 俺がそう訊ねると、ふたりは少し困ったように顔を見合わせ、

「……どっちのことも好きみたいだからな。ふたりとも心配しているんだろ」

 と笑った。

 

 ……ああ、スコール!

 パパは勘違いしてたよ!

 元の世界で再開したときは、この俺の息子であるはずなのに、無愛想でかわいげが無くて、2chしか見て居ないような、陰気で無口なオタクだと思ったのに!

 なかなかどうして、仲間に慕われているではないか!頼りにされているではないか!

 ましてやクラウドくんみたいな可愛い子に大切に思われ、あのセフィにアシストしてもらえるなんて〜!

 くっそ〜! うらやましいぞ、スコール、この野郎〜!

 だからがんばれよッ! 魔女なんかに負けんじゃねーぞ!

 

 ひとしきり息子に声援を送りつつ、次回の戦闘は是非ともセフィロスにアシストをお願いしようと心に決める俺、ラグナ・レウァールであった。