トライアングル コネクション
~コスタ・デル・ソル in ストライフ一家~
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 ヴィンセント・ヴァレンタイン
 

 

 

「ねぇ、セフィロス。ニュースやってないよ」

 不審げにカダージュが我々を振り返る。

「地震速報も出ないの、カダ?」

 ヤズーの問いかけに、カダージュがぎこちなく頷いた。

「う……ん。あんなに大きな地震だったのにね」

 不思議そうにカダージュが首を傾げたところだった。

 玄関のチャイムが鳴った。

 こんなときに来客らしい。

 私はガラスを踏まないように気を付け、玄関に迎えに出た。

 

 そこには勝手知ったる友人の姿があった。

「やぁ、女神。出迎えありがとう。たった今の大地震大丈夫だった?道を歩いているのに、体感がすごかったよ。迷惑かと思ったんだけど、もう近くまで来ちゃってたから引き返すのもなんだったし」

 いつものように、お菓子の袋を寄越しながらジェネシスが言った。

「あ、ああ、ジェネシス、ようこそ。だが、今は室内に足を踏み入れないほうが良いかも知れない。食器棚が倒れてしまって、ガラスや陶器の破片がひどいんだ」

「そうと聞いては手伝わずにいられないね。チョコボっ子は仕事の時間だろう。セフィロスたちはいるの?」

 そう訊ねるジェネシスに向かって、居間から声が飛んできた。

「ジェネシス、うだうだ言ってないで、早く上がってこい。ここを片付けるのを手伝え!」

 もちろん、そのセリフは無遠慮なセフィロスのものだった。

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、あらかた片付いたね。良い食器が……ああ、もったいなかったね」

 ジェネシスのセリフに、

「怪我人が出なきゃそれでいい」

 素っ気なくセフィロスが返す。

「ところでさっきの地震、報道されてないんだって?おかしいね」

 ジェネシスの言葉に、皆が頷き返す。

「ああ、これだけ大きな揺れだったのに、速報も流れないんだ」

 私が言うのに、

「そうなの、どう考えてもおかしいよね」

 ヤズーも声を合わせた。

「なんでだろう。そんなに極地的なものだったのかな」

「あの大地震がか?」

 ヤズーに言い返したセフィロスの声には、不審が混じっている。

「なんだか変な揺れだったよね。何か大きなものがこの土地にぶつかったみたい」

 勘の鋭いカダージュが、言い得て妙な例えをした。

「そうそう。まるで大きな鉄の玉がどーんってさ」

 ヤズーが調子を合わせた。

「……なんだか嫌な予感がする」

 セフィロスが難しい顔をして低くつぶやく。

「何がだ、セフィロス。この地震に何か意味があると……?」

 私の言葉には答えず、彼は難しい顔をしたままであった。

 

「……ねぇ、みんな、ちょっと外に出てみないか?」

 ジェネシスが声を掛ける。

「俺も……なんだかおかしな予感がするんだ。普通の地震とはどこか違うような気がする」

「ジェネシスがそういうなら、ちょっと出てみようか。ヴィンセントは気を付けて、俺たちの後ろから歩いてきて」

 ヤズーのいつもの気遣いを、私は素直に受け入れた。