トライアングル コネクション
~コスタ・デル・ソル in ストライフ一家~
<17>
 
 セフィロス
 

 

   

「オレに言われるまでもなく、覚悟しているというのならば、それでいい。あいつはとても不安定だ。落ち着いているように見えて、足元がぐらぐらしてやがる」

「……アンタから見ると、そう感じるのか」

 オレの話に興味を覚えたのか、レオンはソファに座り直して腕を組んだ。

「……多分、互いを好きになったのは、おまえよりも向こうが先にだ」

「……ッ」

 その言葉に、レオンが照れを隠すように頬を拭った。

「……アンタはそう言うが、オレには自覚がない。もし、それが本当ならば、『セフィロス』のほうから言って欲しかった」

「バーカ、言えるはずもないだろう。いい加減、おまえもあいつの性格を把握しろ。だいたい、そいつを自覚させたオレを、あいつは殴りつけたんだぞ」               

 例のクラブでの一件を、オレは口にした。

 

「……信じがたい。『セフィロス』がそんな真似を」

「図星を突かれて、アタマ来たんだろうが」

「ならばなおさらのこと。俺が彼についていてやらなければ。彼の気持ちが間違いなく俺にあるというのならば、自信にもつながる」

「まぁ……もう好きにしろ」

 レオンを追いやるように手を振った。

「おまえのことだ。『クラウド』を裏切るような真似はしないと信じている」

 まんざらウソでもなくオレはそう言った。

 

「な……レオン。もしもの話だぞ」

 話は終わったと、腰を上げたレオンに向かって、蛇足ながらオレは口を開いた。

「なんだ」

「もしも、その……今回のように、巨大な地震が襲ってきたとして……『セフィロス』と『クラウド』……どちらかひとりしか助けられない状況に陥ったら、どうする?」

「……嫌な例えだな。何の話だ」

 無愛想に、レオンが聞き返してきた。

 

 

 

 

 

 

「だからただの例え話だ。そんな場合に遭遇しないとも限らんだろう」

「俺は両方とも助ける」

 レオンらしい答えが返ってきた。

「だから、それができねー場合にだよ。よくあんだろ。映画とかで。どっちかひとりを助けたら、もう一方は奈落の底に落ちていくんだよ」

「…………」

 レオンは不愉快そうに、目を細めたまま、俺をにらんだ。

 

「そこは、『クラウド』って、答えろよな」

 黙ったままのレオンに、オレはそう言ってやった。

「…………」

「黙っているな。当然のことだろ」

「……そうだな。ではまず『クラウド』を助ける。『セフィロス』よりも非力だからな」「それでいい」

「だが……!『クラウド』を救った後、必ず『セフィロス』を助ける。絶対にだ。……もし、それが叶わないと言うのなら、同じ場所に俺も落ちる」

 それが最後通告だというように、言い放つと、今度こそレオンは、オレの部屋から出て行った。

 

 やれやれ……カタブツが恋に落ちると、始末が悪いというのはまさにこのことだ。

 しかも、オレとそっくりな男を相手に……

 

 いくら飲んでも美味く感じられない酒をやめにして、オレも早々にベッドに潜り込んだのであった。