〜 告白 〜
 第二章
〜 神羅カンパニー・シリーズ 〜
<16>
 クラウド
 

  

「イングズ、声が大きいよ」

 ルーネスがいかにも邪魔というように彼を押さえた。

「い、いや、だが、セフィロスさんが告白というのは……」

「決まってるだろ。クラウドのことが好きだって告白したんだよ。あー、現場に居合わせたかった!ああ、ごめんクラウド、からかってるわけじゃなくて、そんなセフィロスさんも見てみたくてさ」

「ル、ルーネス、なんでわかったの?俺がセフィロスさんに告白されたって」

「クラウドの様子見てたらなんとなくね。今までは意識してなかったのに、お見舞いにも行けてないなんてさ。セフィロスさん、可哀想だよ。クラウドも同じように好きなら応えてあげなくちゃ」

「こ、こんなおれなんかがいいのかな。セフィロスさんのこと、好き……なんて言っちゃっていいのかな」

 神羅の英雄と呼ばれるセフィロスさん。強くて、やさしい、誰もが憧れてやまないそんな人におれみたいなのが……

「『恐れ多い』なんて感覚捨てなきゃ。恋愛は自由なんだからね」

 頭の中がぐるぐる回っているおれに、ルーネスはそんなふうに言うと、ぽんと背中を叩いてくれた。

「ル、ルーネス〜」

「なるべく早く応えてあげなよ。セフィロスさん、きっとやきもきして待ってるよ。さーて、そろそろ寝なきゃね、大分遅くなっちゃったァ」

「そ、そうだな。何か色々すごい話を聞いた気がするが……もう夜も更けた。クラウドそっちのベッドを使え、早く寝るんだぞ」

 言われたように寝台によじ登ろうとしたとき、ガシャーンという何かが割れる音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

「……なんだ、窓ガラス?」

 イングズが言った。

「……かな?けっこう近かったよな」

 ルーネスも頷く。

「気になるな。ちょっと見に行ってくる」

 イングズが身を起こした。確かに何かが割れる音がした。おれも聞いた。

「待って、俺も行くから」

 ルーネスがガウンを羽織った。

「ま、ま、待って、おれも行くよ。さっきまで三人で話していたんだ。それに泥棒とかだったら危ないし」

 おれは二人の後に続いた。

「神羅の軍人寮に入り込む泥棒ってのも考えにくいけどね」

 ルーネスはそんな風にいったが、銃を持って出るのを忘れていなかった。

 

 真夜中の廊下はしんと静まりかえっている。他の部屋からも今の音を聞きつけて誰かが出てくるかと思ったが、時刻が遅いせいか人のくる気配はしなかった。

 無機質な蛍光灯の光の中、おれたちは三人縦に連なるような格好で歩みを進めた。先頭はイングズ、真ん中におれ、その後ろにルーネスが慎重に着いてきている。

 

 L字の角を曲がると蛍光灯が一本灯りが点滅していた。

 チカチカとまぶしいそのあたりの窓が、やはり破られていた。

「破片は廊下側に落ちてるね」

 ルーネスが言った。

「何か居るか……よくみえな……」

 イングズがそう言ったとき、ぐわっと黒い塊が飛び出してきた。