『被虐の孔奴隷~ふたりに愛されて~』
 
<1>
 
 ジェネシス
 

 

 

「やぁ、『セフィロス』。今度はその本を読んでくれたんだね。俺もそろそろ1対1じゃつまらないと思っていたんだよ」

 俺はふたたび淫夢の淵を彷徨う麗人を見つけてそう言った。金糸と銀糸で刺繍の施された白の貫筒衣を着ていると、その姿は天使そのものだ。

「ジェネシス……」

 彼は熱を孕んだ声で、俺の名を呼んだ。

 この世界にやってくる『セフィロス』はいつもこうだ。すべてを剥ぎ取られて犯されることを望んでいるような、そんな自身に絶望を感じているような……不安定な有り様が、俺の嗜虐心に炎を灯す。

 必ずしも読まなければならないわけではない卑猥な小説を読んで、今日もまたこの枕辺にやってきている。自らの意志でだ。

 

「セフィロス、身体が熱い?今日もどうされるのか、考えただけで、濡れて来ちゃいそうだね」

 わざと卑猥な物言いで訊ねるが、それには力なくかぶりを振って否定した。

「でも、この小説……三人で楽しむプレイが主体だからね。今日はいつも以上にたっぷりと可愛がってもらえるんじゃないかな。ねぇ、レオン」

 俺は後ろを向いて、その名を呼んだ。

 瀟洒な扉を開けて入ってきた人物……それはレオンだった。しかし、いつもの意志的な双眸ではなく、どこかふらふらとした何かに酔っているような眼差しだ。

 それも致し方ないこと、彼は、『スコール・レオンハート』としてではなく、俺の書いたこの小説……これの登場人物としてあらわれたのだから。

 

「レオン……」

 『セフィロス』が息を飲む。白い肌が、朱に染まり、動揺が俺にまで伝わってくるようだった。

「レオン、セフィロスの服を脱がして、ベッドに乗せてやろう」

 俺がそう言うと、レオンは無言で頷いて、『セフィロス』の側にまで歩いていく。

 無駄のない動きでセフィロスの服に手を掛ける。背中のファスナーを一気に引き下げると、あっという間に彼を裸にしてしまった。

「レオンも今日はたっぷり楽しんで行ってね」

 ベッドに運ばれた『セフィロス』を眺めながら、俺はそう言った。

「まずは、これから始めてもらおうか。今日は二本あるからね。一生懸命やらないといつまで経っても終わらないよ」

 レオンが無造作に服を脱ぎ落とすのと同じく、俺も着ていたシャツとパンツを床に落とした。

 俺たちは裸になって、『セフィロス』の口元にペニスを突きつけた。

 

 

 

 

 

 

「ん、んぅ、ちゅぶっ、ちゅく……」

 言われたとおり大人しく『セフィロス』が、俺たちに奉仕する。それぞれの手にふたりの男根を握りしめ、代わる代わるに必死に舐め咥えこんでいた。

「『セフィロス』は、いつまで経ってもこれが苦手でね。なかなかいけないんだよね」

 と、レオンに声を掛けたが、それでもレオンのほうはそこそこ感じているようだ。若い身体が稚拙な愛撫にも応えようとしているかに見える。

「ほら、『セフィロス』、もっと舌を使って、根元から咥えて先端まで擦るんだ。裏の筋を舐めて亀頭に軽く歯を立ててごらん」

 俺に言われたとおりのことを、レオンのペニスにしてみたのだろう。レオンはくっと声を堪えて、シーツを握りしめた。

「おしゃぶりをさぼっちゃダメだよ。今度は俺のに……そう、そうやって強く扱くんだ。舌を使って念入りに舐って……いいよ、上手くなったね」

「はぁッ、はぁッ、ジェネシス……もう……」

 レオンが限界を口にした。

「じゃあ、同時に顔にかけてあげようか。ほら、『セフィロス』。がんばって」

「んぐっ……ちゅぐっ……ぐちゅ……」

「あぁッ……出る!」

「んん……!」

 俺とレオンは、ほとんど同時に達し、ドクドクと白濁の液で『セフィロス』の顔を汚してやった。

「ふふ、精液まみれだね。綺麗な顔だ」

 俺はそう告げて『セフィロス』にキスをした。こんな辱めを受けているのに、期待するように股間の物を熱くしている。

 どうやら彼は、俺の渡した本を読み進めることによって、自身の中のマゾヒスティックな部分を開花させることになったらしい。

 

「ふふ、三人でっていうのはいいよね」

 『セフィロス』の顔の汚れを、蒸したタオルで綺麗に拭い取りながら俺は語りかけた。

「ふたりでがかりで可愛がってあげることもできるし、レオンに君を抱いてもらって、俺はじっくり君のイクときの顔を鑑賞することもできる」

 ぞくぞくと『セフィロス』が身を震わせた。羞恥や恐怖よりも期待のほうが大きいのだろう。彼の身体はすっかり虐められ愛されることに慣れつつある。

「じゃ、レオン、彼の後ろを可愛がってあげてくれるかな。俺は少し、フェラチオの講義をしようと思うから。さぁ、『セフィロス』、お尻をレオンの方に向けてうつぶせになって」

 もっとも恥ずかしい体位になるように命ずるが、『セフィロス』は大人しく従った。俺はレオンのその部分の愛撫にも興味はあったが、いつになっても上手くならないフェラチオを教え込もうと考えていた。

「ああ、レオン。この香油……よかったら使ってみてごらん。肌が敏感になって蕩けるのが早くなると思うよ」

 レオンにいつもの香油を渡すと、彼はしばらくそれを眺めていたが、愛撫に使おうと考えたのだろう。自身の手にひとすくいすると、『セフィロス』の尻にそれを塗り込み始めた。