『被虐の孔奴隷2 ~ふたりに愛されて~』
 
<7>
 
 KHセフィロス
 

 

 

 満点の星の下、レオンと……あくまでも小説の中の登場人物のひとりであろうが……その彼と一緒に歩く。

 私は四つ足で歩くので、レオンを見上げるような形になってしまう。

 『飼われている』という妄想が、現実化したようなこの状況に、私は確かに興奮していた。もはやジェネシスの手に、身も心も堕ちたということなのだろうか。

 いや、たとえそうでも、それはわずかな時間だけのことだ。一日の中で眠りにつくこの時間だけ、私は自らの欲求に従ってこの地を訪れているのだ。

「『セフィロス』……物足りないか」

 いきなり声を掛けられて、一瞬私は心の中を見透かされているのだと慌てた。

「……な、なにが」

 と訊ねる声も震えてしまっている。

「リモコンを使って欲しいならそうする」

 この世界でのレオンは、必要最低限でしか口を聞かない。今、問うているのは、私の後ろに嵌め込まれているオモチャを動かして欲しいかと聞いているのだ。

 カッと頬が熱くなり、私は返事に窮した。

「……気持ちよくなれるのではないか」

 私の無言を是ととらえたのか、レオンはそういうと、小さなリモコンをいじった。

 ヴィーンと音がして、体内に埋め込まれたバイブレーターが蠕動する。

「あッ、あぁッ……やぁッ」

 歩くことができなくて、その場に私は身を伏せた。

 内での振動が、よい部分にも伝わり、恥ずかしげもなく腰が揺らめいてしまう。

「レ、レオン、あぁッ、いいッ……」

「またいきそうか?」

「い、イク……やだッ、と、止めて」

 私がそういうと、レオンは言われるがままにスイッチを切った。

 上り詰めかけた身体は熾火がくすぶっているようにつらくなる。

「……前が立ち上がっている。止めない方がよかったのではないか」

 冷静に観察され、私は顔から火が出るほどの羞恥を感じた。

「レオン……後ろのを抜いて……くれ」

 その言葉にレオンが困惑した表情を見せた。

「私ばかりがイクのは嫌だ。レ、レオンのを入れて……欲しい」

「そうか」

 もとの感情の見えない面持ちになり、彼は腰をかがめると、私の後孔からアクセサリーつきのバイブを抜き取った。

「すごい締め付けだな。バイブにこんなにねばりついている」

 冷静に言われて、恥ずかしくてたまらなくなった。だが、レオンは落ち着いた表情で、自身の前をくつろげ、

「しゃぶってくれ」

 と、私に突きつけた。

 フェラチオは何度もやらされている。レオンのを口に咥えると、ジェネシスが言っていたように、喉の奥まで飲み込み、緩急をつけて扱いた。舌を裏筋にそって這わせ、亀頭の先端を抉るように舐める。

 

 

 

 

 

 

「よし……もういい」

 私の頬を撫で、レオンは肉棒をずるりと引き出した。

「そのままの格好で、もう少し尻を上げて……」

 レオンに言われるがまま、伏せの姿勢をとり、後ろに入ってくるのを待つ。

「入れるぞ」

 と短く彼が言った。

 ぐぷっと、雁高の先端が、私の肉壷の中に押し込まれる。

「あぁッ……」

 と、甘い嬌声が漏れる。

「アンタのここは具合がいいな。まるで吸い付いてくるようだ。奥まで入るぞ」

 私の腰を引き寄せるようにして、レオンは自身を奥深くまで埋め込んだ。

 じゅぷっ……ぐぷんっ……

「あぁッ……レオンの……」

「ああ、奥までとどいている。どうして欲しい……?」

 と、彼が訊ねてきた。

「突いて……レオンのいいように、奥まで入れて」

「よし」

 レオンはふたたび腰を引くと、ずぶりと深く突き込んできた。

「あぁッ、いいッ」

「アンタのここは本当に男を咥えるのが好きなんだな。これまで何人を相手にしてきたんだ」

「……ち、違う……私は……レ、レオンが……」

 いや、ダメだ。ここにいる『レオン』は私の知る彼ではない。ジェネシスの小説の登場人物の姿を借りているだけなのだ。

 ずちゅ、ぐぷっ、ぐちゅ……

 レオンが腰を打ち付けるたびに、いやらしい濡れた音が外に響く。

「あッ、あぁッ、あんッ」

 ジェネシスに聞かれているかもしれない。そうわかってはいたが、声を抑えることがどうしてもできない。それだけ的確に、レオンは私の弱いところを突いてきた。

「あッ、あんッ、レオン、もうイク……!」

「いいぞ、そのまま出せ。俺ももう……」

 ドクンドクンとレオン自身が、私の中で脈打ち、次の瞬間腹の奥に熱い樹液が叩き付けられた。そしてそれと同時に、私も精を放った。

「あッ……はぁッ……はぁッ」

「はぁッ……ふぅ……アンタはあまり体力がないな。一度のセックスで腰が砕けるようでは、到底あの創造主の望むようなペットにはなれないだろう」

「創造主……?」

「ジェネシスのことだ」

 レオンはそういいながら、頽れた私を四つん這いに戻すと、先ほどまで挿入していた孔に、ふたたびバイブレーターを咥えさせた。

「さぁ、戻るぞ」

 くいとリードを引いて、レオンはパティオの中心に向かって歩き出した。