~この手をとって抱きしめて~
 
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 スコール・レオンハート(レオン)
 

 

 

「せっかく来たんだ。茶でも淹れよう。セフィロスは何を飲む」

 そう訊ねると、『紅茶』と応えてくれた。

 アンセムの私室には、続きの部屋にキッチンが付いている。そんなところも、俺が彼にこの場所を奨めた理由だった。

 ヴィンセントさんに教えられたやり方で丁寧にお茶を淹れ、セフィロスのところへ持っていった。

「ふむ……美味い。レオンは茶を淹れるのが上手いな」

 彼は嬉しそうに笑ってそう言ってくれた。

「ああ、セフィロス、そう言えば、さっき何か本を読んでいたな。どんな内容のものなんだ?」

 日常会話のつもりで、俺はそう訊ねた。

 だが、彼は少々慌てた様子で……そう、いつもがほとんど表情の変らない人だから、それがより一層はっきりしてしまうのだが、めずらしくも、取り乱した様子で口を開いた。

「い、いや……ただの小説のようなものだ。『向こう』へ行ったとき、土産にもらったのでな」

「ほぅ、土産?だれに?」

「ジェ、ジェネシスだ」

「そうだったのか。読み物を渡すとはなかなか気が利いているな。如才ないジェネシスらしい」

 俺は普通に感心して、セフィロスに頷き返した。

 しかし、なぜか不思議に目線を外される。

「セフィロス……?」

「い、いつまでものんびり茶を飲んでいるのもおかしなものだろう。そら、レオン。ベッドの上に乗って足を開け」

 そういうと、彼は無理やり俺の腕を引っ張り、寝台の上に突き飛ばした。ティーカップをテーブルに戻しておいて正解だったと言えよう。

「お、おい、ちょっ……」

 ジーパンのジッパーに手を掛けるセフィロスに、思わず俺は後ずさりした。

「今日はまだ風呂に入っていないし」

 言い訳がましくそう伝える。

「私はもう湯浴みを終えた」

「いや、だから、俺がまだ……」

「そんなことはどうでもいい」

 しかし、セフィロスのほうは、俺の戸惑いなど、歯牙にも掛けず、ジッパーを無理やり引き下ろし、俺のそれを窮屈なズボンの中から引っ張り出してしまった。

 

 

 

 

 

 

「んッ……はぐ……んちゅ……」

 大きく口を開けて、それを飲み込み、舌を使って奉仕してくれる。

「セ、セフィロス……」

 彼の髪を乱暴にならないよう引き上げて、そこの部分から顔を放そうとするが、彼はしっかりと俺の根元をくわえ込んでいて、離れようとはしない。

 彼の舌が、巧みに俺を追い詰めてゆく。

 じゅる、ぐぷっ、ちゅぶっ

 限界を告げる先走りと、彼の唾液が入り交じって、耳を覆いたくなるような濡れた音が部屋に響く。

 熱の塊が突き上げてくるようで、俺は呼吸をすることさえ忘れてしまいそうになった。

「あッ……く、も、もう放せ」

 彼の頬に手を添えてそういうが、彼は口での奉仕をやめるつもりはないようだった。

 このままでは、彼の口の中に精液を放出してしまうことになる。

 やや乱暴だったかもしれないが、絶頂を極める瞬間、俺は力尽くで、自身をセフィロスの口腔から引き出した。

 その瞬間、絶頂感が突き上げてきて、俺は一気に精を放った。

「ッ……」

 セフィロスが、驚いたように息を詰めた。

 

 あろうことか

 そうまさにあろうことか、俺は意識しないまま、セフィロスの顔面に吐精してしまったのだ。

 びっくりしたような表情で、セフィロスが俺の前に座っている。前髪から口元にかけて、汚れた白濁液が、無惨にこびりついていた。

「す、すまん!」

 俺は心の底から慌てた。置いてあるタオルを手に、汚れたセフィロスの顔を拭い、髪も拭いてやる。

「すまん、つい……」

「……別に、ちょっと驚いただけだ」

 セフィロスは慌てる俺を横目に、口をぐいと拭うと、たいしたことではないという口調でそう言った。