~この手をとって抱き寄せて~
 
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「『セフィロス』、おいで」

 ジェネシスが私に手を差し伸べる。

 私はおずおずとその手を取った。

「キス……してもいいかな」

 やさしくそう訊ねられて、私は素直に頷いた。

 

「可愛い『セフィロス』……小説の中の主人公になってしまうか……君は本当に可愛いね」

 そういうと、ジェネシスの舌が私の唇を割り、歯列をなぞり奥深くまで嬲られた。

「ん……」

「今夜はそんなつもりはなかったけど、久々に君の裸体を見たくなった」

「……あ」

 ジェネシスの手が私のローブの腰紐を引っ張る。

「いや……ダメだ。わた、私の夢が……」

「そう、夢だと思えばいいよ。君はそんな夢で悩んでいるんだ。気持ちのいいことを受け入れてしまえば、ずっと気が楽になるよ」

 ジェネシスはそういって、私のローブを脱がせてしまった。

 

「ベッドに行こうね」

 そういって、ジェネシスが私を抱き上げる。

 ……ああ、夢でもこんな場面があった。足が笑ってしまって動けなくなる私を、ジェネシスが抱き上げてくれるのだ。

 

「さぁ、『セフィロス』……これは夢だよ。君の見る夢だ。何も恥ずかしいことなんてない。……いや、恥じらっている君に触れるのも、また一興かな」

「ん……」

 ふたたび深く口づけられて、私はびくびくと身を震わせた。

 ジェネシスはキスが上手い……初めて会ったときにもそう感じた。

 ベッドに下ろされ、裸の身体をまさぐられる。

「や……あつい……」

 私は熱に浮かされた声でそうつぶやいた。

「身体が火照っているんだよ。抱き合えば鎮められるだろう?」

 ジェネシスの手が、私の裸の身体を撫で、ぷつりと尖った胸の飾りに触れた。

「ふふ、乳首が立ってきているよ。可愛いね」

 ジェネシスの指が、両の乳首に触れ、少し痛いほどにこね回され、引っ張られる。

 

 

 

 

 

 

「あ、あう」

「ふふ、可愛いね、こんなにぷくりと膨らませて」

 きゅっと引っ張られて、高い声が出てしまう。

「あ……あん」

「いいんだろう。やっぱり君はこうして可愛がられるのが望みなんだよ。夢を見るのもそのせいさ」

 ジェネシスが甘やかすようにそうささやいた。

「……わたし……自身が……?」

「そう……君自身が、望んでその夢を見るんだ。虐められて可愛がられる、その世界での出来事はすべて望んだことなんだよ」

「……望んだこと」

 私はジェネシスの言葉を反芻した。

 

「いいんだろう?」

 舌で乳首を転がされて、甘い嬌声が出てしまう。

「あッ……あぁんッ」

「君が望めば、欲しい快楽が手に入るんだ。夢であろうとなんであろうと悦んで身体を解放してしまえばいい。ほら、こんな風にね」

 ジェネシスの片手が、私の中心に添えられる。

 自覚はなかったが、その部分はすでに熱をもって立ち上がっていた。

 

「やっ……ダメだ……」

「どうして……今になって恥ずかしくなっちゃった?」

「…………」

「いや、君は恥ずかしいのが大好きなんだもんね。夢の中では孔奴隷として、皆に可愛がってもらっているんだろう?」

「わ、私は孔奴隷なんかじゃ……」

「君自身が言ったことだよ……それに君自身が望んだことだ。さぁ……これ、かなりきつそうだけど、ここでやめていいのかな」

「あ……あぁ……やめないで、イ、イキたい」

「本当に君は身体の欲求には正直だよね。そこがとても素敵なところだけど」

 ジェネシスは私の頬に口づけると、立ち上がりかけた私のそれを、手でゆるやかに扱き始めた。

「あ、あふぅ……」

「さぁ、後ろにも欲しいだろう。向こうをむいてうつ伏せになってごらん」

「…………ッ」

「ペニスもアナルも存分に可愛がってあげるよ。ほら、お尻を突き出して」

 言われるがままに腕を引かれ、私は尻だけ持ち上げた恥ずかしい格好になってしまった。