~この手をとって抱き寄せて~
 
<8>
 KHセフィロス
 

 
 

「ダメだねぇ、本当にこの本の『総統』が言っているように、こらえ性がないね、『セフィロス』の孔奴隷は」

「はぁ……はぁ……ああ……」

 頂点を極めた喘ぎを漏らし、私は腰を高く上げたままの姿勢で前のめりに頽れた。

「まだ俺がイッていないというのに……ほら、腰を上げて」

 ジェネシスは腰骨の部分を押さえると、奥まで挿入し、中途半端になった律動の続きを始めた。

 固く立ち上がったペニスが、奥を突いてくる。

「あッ……あぁ、また……また来ちゃう……!」

 一度吐き出したにもかかわらず、私は内のしこりの部分を擦られて、ふたたび勃起してしまう。

 ずちゅ、ぐちゅ、ぬちっ

 と、ジェネシスは激しく抜き差しした。

「そろそろ出すぞ」

「あッ……あんッ……もっと、もっと擦ってぇ」

 私はまだイけそうにない。ジェネシスにねだると、彼は呆れたように

「欲張りだね」

 と笑った。

 ぐちゅ、ぬちゅ、ずちゅ……!

「あッ、あぅッ、あはッ……!」

 ビクビクと自身の腰が揺れるのを感じる。

「どうやら君も気をやれそうだね。さぁ、もう出すぞ」

 仕上げとばかりに、ジェネシスは腰を叩き付けてきた。ひときわ高く、パンパンと肉のぶつかり合う音がする。

「くっ……ふぅ……!」

 ジェネシスのペニスが、私の体内で大きく震え、熱い樹液を吐き出した。

 それとほぼ同時に私も慌ただしく二度目の絶頂を迎えたのであった。

 

「さて、こういう場合は孔奴隷にお仕置きしていいんだよね?ご主人様をおいて先にイってしまったんだから

「そ、それは……」

「ふふ、なんといっても俺の小説だからね。その辺のことはよくわかっている」

 楽しそうにそう言うと、少しだけ何かを考えるような表情を見せた。

 

 

 

 

 

 

「うーん、ここはオーソドックスにお尻叩きかな。さすがに鞭を使うのはあんまりだから、平手でやってあげるよ」

「……嫌だッ! そんな痛いこと……!」

「これも孔奴隷ごっこだろう?そのうちお尻叩きが快感になるかもしれないぞ。その素質は十分にあるんだからね。ほら、こっちにおいで」

 ジェネシスに手を差し伸べられるが、素直にその手をとる気にはなれなかった。

「い、いくら、『ごっこ』といわれようと、痛いのは嫌だ……」

「痛くなければお仕置きにならないだろう?ほら、早くきなさい」

 とんとんと自身の膝を叩いてジェネシスが私を呼ぶ。

 ……あくまでもつっぱねればよいのに……自分でもそうわかっているのに、ジェネシスに言われると、なぜか抗いがたい気分になる。私が彼の本に影響されているせいなのだろうか。

 結局、ジェネシスの膝の上に腹を乗せ、尻を差し出す格好にされてしまう。

「君の肌はどこもかしこも本当に雪のように美しいんだね。お尻もこんなにすべすべで……ここを叩いてお仕置きされるなんて、なんだか少し可哀想になってきたな」

「…………」

 むっつりと黙り込んだ私を上から見下ろして、ジェネシスが尻を撫でる。割れ目を指でなぞり、最奥のあたりを指でくすぐるようにからかうのが不愉快だ。

「じゃ、二十回いくよ」

 そう前置きすると、ジェネシスは打擲を始めた。

 

 パシーン!

「痛ッ!」

「痛いじゃなくて、数をかぞえるんだろう」

「くっ……ひ、ひとつ……」

「さぁ、どんどんいくよ」

 ビシッ!

「ふ、ふたつ……」

「声が小さいよ。数を間違えたら、最初からやり直しだからね」

 バシッ!

「み、みっつ……」

 パァン!

「あぁん……よっつぅ……」

 

 結局、私はジェネシスの命ぜられるままに、尻叩きを二十回も受けさせられたのであった。

「ふふ、お尻がほんのりと紅くなって、可愛い姿になったね。後で香油を塗ってあげよう」

 膝に乗せられたままの私の尻を、やさしく撫で回し、ジェネシスが言う。

「あ、あん……」

「可愛らしい声を出して……やっぱりお尻叩きで感じていたんだね」

「そ、そんなこと……!」

「否定しなくていいよ。君はこうしてお仕置きされるのが大好きなんだよ。認めてしまえば、楽になれるのに」

 ふふ、と笑みをこぼしながらジェネシスが言う。

「夢の中でもたびたび鞭をもらっているんだろう?それもさっき言ったように君の望みが具現化しているんだよ。いいじゃないか、こんなに強くて綺麗な君が、スパンキングされて感じるなんて、俺の方が興奮してしまうよ」

 じわじわと滲みてくる尻を、ジェネシスがこの上なくやさしく撫で回すのであった。