『堕ちた天使~軍服と鞭』
 
<1>
 
 KHセフィロス
 

 

 

「やぁ、『セフィロス』、また来たの?」

 そう言って笑ったのは、どこか軍服を思わせるような服を着込んだジェネシスであった。

「……なんで、そんな格好をしているのだ」

 私はそう訊ねた。

「どう?格好良く見えるでしょ。どこか威圧的だよね、軍服って」

 そう言って彼が笑う。

「それにしても……」

 彼が言う。

「それにしても、よく来るよね、君。ここに来たら何をされるかわかっているくせに、自分の方からすすんでやってくるなんてね」

「…………」

 私は何も応えられなかった。

 これが私の見ている夢だというのは、なぜかはっきりわかっている。これまでに何度か同じシチュエーションで、彼の元に行く夢を見ていたから。

 そして、その夢の内容は、ことごとく彼が手がけた小説……官能小説に出てくるプレイを味わわされるものであった。

 今回も同じなのだろう。

 夢……だとわかっていても、何度もこんな淫猥な夢を見るのかと自身に呆れてしまう。

 

「まぁ、いいよ、俺にとっては楽しいことばかりなんだから。じゃあ、今日も十分に楽しませてもらおうかな」

 そういうと、ジェネシスは、とてもやさしく『服を脱いで』と耳元でささやきかけた。

 そのとき、私はエスタでもらった、裾の長い貫筒衣を着ていた。足元がくるぶしまで隠れるそれは、レオンに言わせると天使の装束に見えるという。

 

 ジェネシスに言われるまま、私はその長い服を足元に落とした。

「綺麗な衣だね。それを着ていると、君は天使に見えるよ。……いや、こうして俺のところにやってくるのだから、堕天使ということになるのかな」

 ジェネシスは、手にしていた乗馬鞭のようなもので、私の乳首をつんと突いた。

 思わず、

「あッ……」

 と声が漏れてしまう。

「相変わらず感度は抜群だね。……さて、裸になってもらったところで、まずはこれからだな」

 そういうと、ジェネシスは、ズボンの前をくつろげて、自身の大きなものを引っ張り出した。

「この小説の冒頭には、ご奉仕シーンがある。君も読んだのだから知っているよね。膝立ちになってしゃぶってもらおうか」

 ジェネシスの手には、濃い紅色のカバーで揃えられている、彼著作の文庫本があった。

「さぁ、セフィロス。おしゃぶりの時間だよ」

 ずっしりと重量のある雁首の高いそれを、私は素直に口の中にくわえ込んだ。

 

 

 

 

 

 

「ふッ……んぐっ……ちゅぶっ」

「もっと舌を使って、裏の筋からカリに向かってしゃぶりあげるんだ」

 ぐっと男根を喉の奥まで突き込まれる。

「げほっ……んぐっ……ぐっ……くちゅ」

「そう、喉の奥まで吸い込んで、引き出して。よし、それでいい」

「はぐっ……んくっ……じゅぶっ……」

 生理的な涙が頬を伝わってこぼれ落ちる。ジェネシスはそれをやさしい手つきで拭い取ってくれた。

「ちゅっ……ちゅぶ……ぐちゅ……んぐ」

「よし……出すから全部飲み込んで」

「ん……んぐ」

 私は固く腫れ上がったそれを咥えながら、何度も頷いて見せた。

「くっ……はぁッ」

 膨れ上がった陽物が、びくびくと私の口の中で震える。次の瞬間、熱い飛沫が喉奥に叩き込まれた。

「ゲホッ……ゴホッ……かはッ」

 すべてを飲み下すことはできず、口の端からぼとぼととこぼしてしまう。

「いつまで経っても、これは上手くできないなぁ。今度はもっと時間をとって躾けてあげよう」

 はぁはぁと荒い息を吐く、私の頬を撫で上げて、ジェネシスがささやいた。

「さて、じゃあ、ベッドに行こうか」

 膝立ちになっていた私を、ひょいと抱き上げて、ジェネシスは大きな寝台に私の身体を置いた。

 

 ……ここは一体どこなのだろう。

 夢の中だというのに、私はそんなことを思った。

 

 ジェネシスのマンションではない。

 びろうどの絨毯に一段高くなったベッドルーム。艶のあるシルクのシーツとたっぷりとした掛け布団があるベッドだ。巨大な寝台の上には、光沢のある生地で覆われた、クッションがいくつも乗っている。

 

「ジェ、ジェネシス……ここは?」

 答えてもらえるかわからなかったが、私は彼に訊ねてみた。