『堕ちた天使~軍服と鞭』
 
<2>
 
 KHセフィロス
 

 

 

「ここ?……そうだな、この小説の設定だと、軍本部の総統の寝室になっているね。俺のこの格好もそれに合わせてあるだろう」

 ああ、そういえば、そんな小説本もあった。

「さて、そろそろ、君も楽しませてあげなければね」

 革の手袋をしたジェネシスの手が私の頭を撫でる。

 

「前を擦られれば、男なら誰でも感じてしまうだろう。だが、後ろだけでいける者はあまりいない。そこで今日は君の後ろをたっぷりと開発してあげよう。その素質があるのは以前からよくわかっていることだしね」

 ゲームの内容を口にするジェネシスは、ひどく楽しそうだ。

 後ろだけで上り詰めることはできる。それは自分の身体だからよくわかっている。

 だが、射精をするとなると、これまではジェネシスがペニスにも何らかの刺激を与えて、頂点まで導いてくれていた。後ろを犯されながら、前をしごかれて、私は何度も達してしまったのだった。

 

「じゃあ、さっそく、この前のようにベッドで四つん這いになってごらん」

 夢が……夢が覚めない。

 この生々しい夢が、どうしても覚めないのだ。

 私はジェネシスに命じられたとおり、寝台の上で四つに這った。

「そう、そのまま前の腕は曲げて、腹ばいになって。お尻は高くあげるんだ」

 動物のような姿勢で、最奥をさらすという、この上ない恥辱に肌がおののく。

 だが、ジェネシスのやさしい手が背を撫で、尻をさするのに、私は大人しく言われたとおりの格好になったのだ。

「よし、いいこだね。今日も君のために香油を用意したから安心して。これで身体中がとても気持ちよくなるよ」

 ジェネシスは手袋を外してサイドテーブルに放り投げた。

 ピンク色の妖しげな液体の入った、綺麗な小瓶を私に見せてくれる。

 彼はそれを自分の手にたっぷりと出すと、そのまま私の尻にすり込んだ。

「ん……ふ……」

「いい気分だろう?徐々に身体が熱くなって、敏感になる。じゃあ、ここにもね」

 そういうと、彼は私の最奥をあばき、そこに香油をとろりとたらした。

「あ……ッ」

 ジェネシスの指が、ゆっくりと後孔を撫でる。

 つぷつぷと入り口をいじり、襞の一つずつに指の刺激を与え始めた。

「ん……あ……あふっ……」

「まだ、入り口を可愛がっているだけだよ。いやらしい身体だな」

 クスクスとジェネシスが、いたずらっぽく笑った。

 

 じゅぷっ……ずちゅ、ぐちゅ……

 

 二本の指が私の中に入ってくる。最初は入り口付近をなぞり、そのまま奥へ差し込まれる。香油のせいで動きは滑らかだ。

 

 

 

 

 

 

「もうこんなに弛んで……君のここは女性のそれのようだね。指を喰い絞めて放さないかと思えば、中はとろとろに蕩けている。まるで蜜壷のように」

「や、やめ……ろ、それ以上は……」

「こんなに喜んでいて、やめろはないだろ。それとも本当にやめて欲しいの?だったら、ほら」

 あっさりとジェネシスは指を引き抜いてしまった。

「あッ……」

 あとに残るのは、じわじわと熱の塊が、その部分の肉を戦慄かせる、焦れったい快感だけだ。

「んっ……う……」

「足をすりあわせてどうしたの? 本当はもっと指は欲しかったのだろう?」

「くっ……ジェ、ジェネシス……」

「ダメだよ、ちゃんと口で言うんだ。指をどこに入れて欲しいのか」

 彼は形の良い唇に指を当てて、そう言った。

「ゆ、ゆびを……」

「指を?」

 と繰り返される。

「指を……な、中に入れて……」

「中ってどこの中?」

「……し、尻の中に……ジェネシスの指を……」

「まだまだ不十分だけど、よしとしておこう。それじゃあ、君の希望どおり、指を入れてあげる」

 ぐぷぐぷと、彼の長い指が、私の中に入ってきた。

「あッ……あん……」

「さぁ、そしてどうして欲しいの?」

 わざとジェネシスがそう訊ねた。

「な、中を……かきまぜ……て。い、いきたい……」

「よく言えました」

 高く持ち上げた尻を、撫で回すと、ジェネシスがようやく指を動かし始めた。

 ずぷっ、ぐちゅ、ずちゅっ

「あ……あぅ……あはッ!」

「中がものすごく熱くなっているね。俺の指にからみついてくる」

 ジェネシスはそういうと、さらに奥深くまで指を突っ込んだ。

「あッ!あぅッ」

「ほら、こんなに奥まで……いいんでしょう?セフィロス」

「い、いい……いい、もっとぉ……」

 甘く掠れた声が漏れた。

 そうだ……いつでも、小説の中の私はこんなにも淫乱で、どうしようもない性奴隷であった。

「お尻だけでいけそうだね」

 固く勃起して私自身の腹にくっついているペニス……しかし、ジェネシスはそれに触ってくれるつもりはないようだった。あくまでも、後ろだけの刺激で射精させようとしている。

「あッ……ジェ、ジェネシス……も、もぅ……いく」

 ぐりゅ、ずりゅ、ぐちゅん

 と、中で暴れる指が、固いしこりに触れた瞬間、私の身体は電撃が走ったように痙攣した。

「あぅ……はぅ……はぁん……」

 びくびくと下半身を震わせ、私はずっと我慢していた精を存分に放ったのであった。