~この手をとって口づけて~
 
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 ようやく寝室に、セフィロスを寝かしつけると、ラグナは彼の手荷物を片付けようとする。

 ちょうど、そのときであった。

 セフィロスの携帯電話が鳴ったのは。

 

「っとぉ、どうしようかな。セフィを起こすのはまずいし……まさか他人の俺が携帯に出るわけにもいかないしなぁ」

 などと逡巡している間に、コール音が止まってしまった。

 もし、また寝ているときに電話が掛かってきたら、仕方ないから出ようと考えて。

 寝室では、セフィロスが心地よさげに眠っている。携帯電話を枕元に置いておくのはまずいだろう。つくづく周りの人間に手間を掛けさせる青年だと考えつつ、ラグナはそれをリビングのテーブルに置いてやった。

 

「セフィ、セーフィってば、ホント世話が焼けるねぇ。もう可愛い顔して眠っちゃって」

 ちょっとくらいならばいいよねと、その形のよい唇に口づける。しかし、セフィロスはいっこうに目覚める気配はない。

 バスローブ一枚というしどけなさが、ラグナのいたずら心に火を付けるのだ。

「初チューはもうもらっちゃったし~。あ、そうだ、身体にボディローション塗ってあげよう!」

 いたずらっこのように、ラグナはサニタリールームからユーカリのローションを持ってきた。

「これを塗ると肌がしっとりしましゅからね~。セフィも隅々まで塗り塗りしましょうね~」

 とわざと作った声で言いながら、ローブの合せをはだけさせる。下着も付けていないセフィロスはまさしく素っ裸だ。それでも猥褻だのと感じさせないのは、人離れしたその姿形のせいなのだろうか。

「はい、まずはおっぱいの上にたらーりとね」

 ローションの蓋を開け、ラグナは彼の素肌の上に垂らした。それを素手で丁寧に塗り込んでいく。

「おっぱい可愛い~」

 くるくると指を回してその部分にも塗り込むと、紅いその部分がぷくりと頭をもたげた。

「ふぅ……ん」

 なまめかしい吐息が、セフィロスの口から漏れる。

「あれ、セフィ、もしかして寝ながら感じてるとか?」

 それはそれで面白いと思ってしまうラグナである。さらに乳首をしつこく撫で回し、両方とも固く立ち上がるまで愛撫した。

 

 

 

 

 

 

「あとは~、ホントは背中にも塗ってあげたいけど、寝返りさせるのは難しいよな。お腹と脇に塗り込んでやろうかな」

 ラグナの手が丁寧に脇の下をすべり、下腹へと動く。ローションの良い香りが部屋中に満ちてゆくのは、塗られたセフィロス自身の体温でさらに蕩けるからであろう。

「ん~……」

 下腹に何度も繰り返して塗り込んでいくと、今度はセフィロス自身がぴくりと反応した。むくむくと首をもたげ、立ち上がりかけてしまう。

「あれれれ。セフィってば、もう可愛いなぁ」

 いかにも『おじさん』っぽく、笑うと、ラグナはローションをテーブルに戻した。

「んむぅ…… なんだ、何をした……」

 セフィロスは目を擦ると、ローブをはだけさせた犯人をにらみつけた。

「あー、ほら、違うの、これ、ローション。身体に塗るヤツね!セフィ寝ちゃったから、今、これを塗ってあげてたんだけど……」

「……どうしてくれる」

 じわじわと迫ってくる快感に、涙を浮べながらセフィロスが苦情を申立てた。

「ごめん、まさか、感じちゃうとは思わなくてさ~。あー、でも、乳首もツンツンだし、前もきつそうだよね。いやー、おじさん、そんなつもりはなかったんだけどな~」

「しらじらしい……」

 そう吐き出すと、セフィロスは寝ころんだまま、ラグナを睨み付けた。

「責任……とってもらおう」

「え? それってどういうこと? もしかして……触っちゃってもいいのかな、そこ」

 と、膨れつつある男性自身を指さして、ラグナが笑った。

「いい、早く……もどかしい」

「じゃ、いただきまー……じゃない。気持ちいいことしようね★」

 といって、まずはぷっくりと膨らんだ、ふたつのつぼみを、いじりはじめた。一方を舌で転がし、軽く歯を立てる。またもう一方はきゅっと摘み上げ、指先でこねくり回す。

「あッ、あん……あッ」

「セフィの声、超カワイイねー。もっと聞かせてごらん」

 ちゅうちゅうとグミのようなそれを吸い上げ、爪先で弾いた。

「あぁッ……いいッ」

「あれ、セフィってば、もしかして乳首だけでイケちゃう?」

「やッ……前も……前も触って」

 セフィロスが自身の手を伸ばす前に、ラグナに止められた。

「大丈夫、ちゃんと下も気持ちよくさせてあげるから」

「ん……早く……」

「はいはい、ローションを使いましょうねぇ」

 とろみのある液体を手のひらにすくい取ると、ラグナは立ち上がりかけた肉棒にそれを擦り込み始めた。