~この手をとって口づけて~
 
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「ずいぶんと明るい浴室だな……これだといささか気恥ずかしい」

 レオンのセリフに、セフィロスがおかしそうに笑った。

「互いの裸など、何度も見ているではないか」

「それは……アンタはどこもかしこも綺麗だから……照れはないのかもしれないが……」

「……そんなことはない。正直、照れくさい」

 聞こえないほど小さな声で、セフィロスがつぶやいた。

 かけ湯をして、広い浴槽にふたりで身を沈める。

「ああ……ほっとした。ようやく今になって落ち着いた気分になれた」

 レオンがそう言った。

「どうしたのだ……?」

「わずか三、四日程度だったのに、アンタと会えなかったのが、ひどくこたえた」

「…………」

「ちゃんと会って、こうして触れ合うまで安心できなくて……」

「……すまなかった」

 初めてセフィロスが謝った。

「居場所を連絡したから……それでいいのだと思った」

「いや、いいんだ。ただ俺が大げさに騒いでしまっただけで……」

「…………」

「アンタが離れていってしまったような感じがして、な。アンタだって意志をもったひとりの人間なんだから、どこに行くのも自由なんだ。それはちゃんとわかっているつもりだったのだが……面目ない」

「……うれしいものだな」

「え……?」

「おまえが私の姿を追ってくれていたのだと思うと……ここちよい」

 セフィロスが微笑んだ。

「ああ、全力で追った。……だから、今、俺はここに居る」

「レオン……」

 セフィロスが目を閉じる。レオンは引き付けられるように、淡い色味をした口唇に口づけた。

 

 

 

 

 

 

「レオン、もっと……」

 角度を変えて、セフィロスがふたたびレオンの唇を追う。薄い舌が入り込むとレオンはそれを強く吸い上げた。

「ん……」

 どちらともなく甘い吐息が漏れる。

「レオン……このままだと、ふたりとものぼせてしまう」

 笑いを含んだ声でセフィロスがささやいた。

「あ、ああ、そうだな。そろそろ上がってアンタの髪を……」

「その前に……することがあるだろう。ほら……おまえのここもこんなに熱くなっている」

 浴槽の中でその部分に触れられて、レオンはくっと息を飲んだ。

「いいのか、セフィロス……」

「誘っているのは私なのだ。そら、そこにマットがあるだろう」

 いっそ無邪気にセフィロスが言った。

「……こんな明るい場所で」

「互いの顔がよく見えるな。だが……」

 もう我慢ができないと言って、レオンを引っ張るようにして、湯船から上がった。

「私がしてやる」

 あぐら座になったレオンの下肢に、身体を埋めて、セフィロスが彼の陽物を口に含む。

 じゅぷ、じゅぷと、音を立てて奉仕すると、レオンはあっという間に上り詰めてしまった。

「よせ……もう、出る」

 せっぱ詰まった声で、レオンがセフィロスの頬を撫でた。

 それでも、膨れ上がったそれを口から出すことなく、そのまま愛撫を続けた。

「あ……くッ……」

 びくびくと精悍な腰が震え、セフィロスの口の中に劣情が吐き出された。それをゴクリと嚥下して、彼は満足そうな笑みを浮べた。

「良かったか。……おまえは本当に声を上げないのだな」

「ひとりで先にいかせられるとは思わなかった。……次はアンタの番だ」

「……いや、なんだか今夜は私のほうが、おまえに奉仕してやりたい気分なのだ」

 レオンをマットに押しつけて、セフィロスはその上に乗り上げた。

「お、おい、セフィロス」

「いいから大人しくしていろ。ん……」

 たっぷりと口づけを楽しむと、その唇を徐々に喉元に滑らせた。鎖骨に軽く歯を立てると胸の飾りに接吻する。

 舌先で転がし、指先でこねまわすと、小さなその部分が、紅く色づいてぷくりと身をもたげた。