～この手をとってささやいて～

＜２７＞

レオン

「本当につらかったら……今のうちに言ってくれ」 　途中で止まれそうにないからというのが、俺の本音である。 　まだ入り口付近に入り込んだだけなのに、下肢から目も眩むような快感が突き上げてくる。 　彼の反応を見下ろしながら、少しずつ奥に侵入してゆく。 　時折、苦しそうな喘ぎ声を漏らすが、それでも彼のその部分は徐々に、俺の高ぶりを飲み込んでいった。 「……ッ！あぁ……はぁ……はぁ」 　口から漏れる吐息が、熱を帯びて俺の頬に触れる。 「『セフィロス』……好きだ。アンタのことが……たまらなく好きだ」 　俺がそうつぶやくと、彼がわずかに目を開いて、 「し、知っている……」 　と応えてくれた。 「レオン……熱い」 「ああ、蕩けそうだ」 　ぐっと最奥を目指して、身体を進める。 「あぁッ」 　彼がひときわ高い嬌声を上げた。 　俺の物が根元までしっかりと埋まったからだろう。彼の体内のしこりに、俺の穂先が触れたのだ。前立腺を刺激してやると、受け身の側はほとんど余裕が無くなる。 　いつぞや、『クラウド』が言っていたことだ。 「レオン、動いて……」 　彼の手が、ベッドに手をついた俺の腕に絡んでくる。 　それに応えてゆっくりと抜き差しを繰り返した。俺の腹に当たる彼の男根も、ふたたび熱を持って立ち上がり始めていた。       ★     　 　深く押し入り、ぎりぎりまで抜く。 　熱い肉襞が俺自身にからみつき、解放を促す。 　いよいよ限界が近づいている。どくんどくんと胸の音が、ウソのように大きく耳元で響く。 「あッ、あッ……あぁ……はッ」 　俺の律動似合わせ、『セフィロス』の口元から喘ぎ声が漏れる。それを聞いているだけで、今にも達してしまいそうだ。 「『セフィロス』……もう、もたな……い」 　抱え上げた足の裏側にキスを落とし、俺は限界を告げた。 「レオ……ン、一緒に……」 　彼がそう言った。 　繋がった部分が、ぐぷぐぷと音を立てる。 　今、俺は、『セフィロス』を押し倒し、大きく足を開かせた格好を取らせているのだ。そしてその中心の最奥に、自身の物を埋め込んでいる。 　……そんな卑猥な映像が脳裏に焼き付いて消えない。 「レオン……もういく……！」 　彼の言葉に、抜き差しを早くする。俺も一緒に果てたいとそう思うからだ。 「はッ、はぁッ……あぁッ……！」 　肉壷の中で、自身に電流が走ったかのような快感が通り過ぎていった。   　俺と『セフィロス』は、ほとんど同時に達していたのだろう。俺の腹に、彼の熱い飛沫が撥ね掛かり、俺は彼の体内に、自身の劣情をほとばしらせていた。   「は……あぁ……はッ……」 　何とか呼吸を整え、俺は彼に声を掛ける。 「だ、大丈夫か……『セフィロス』」 「問題……ない……　はぁッ……はぁッ」 　俺は彼の中から外に出すと、『セフィロス』のとなりに横になった。   「つい……夢中になって、無理をさせてしまった」 　そういうと、 「無理……ではない。良かった、レオン」 　と、『セフィロス』が言った。その声に、笑みが含まれていたのを、俺は意外に感じて彼の顔を見た。 「……見るな。少々、気恥ずかしい」 　彼でも、そんな風に照れるのだろうか。 　『セフィロス』は、ごろりと反対向きに横になった。 「落ち着いたら……一緒に、風呂に入らないか……？」 　俺は彼を誘った。 　行為に及んでいる最中は、まったく気にしていなかったが、避妊具をつけないで交わったせいで、彼の体内には俺の残滓があるだろう。それを洗い流してやろうと考えたからだ。 「よけいに恥ずかしい。……少ししたら、シャワーを浴びる」 　お互いにそうは言うものの、荒い吐息が治まるのを待つしかなかったのだ。