〜Second impact〜
 
<15>
 
 スコール・レオンハート<レオン>
 

 

 

 

 

 

 

「ヤダよ……こんなの……見られるの……」

 小さくしゃくりあげ、子どものようにごしごしと涙をぬぐう。

 

「クラウド……」

 俺は辛抱強く語りかけた。

 彼と過ごしたここ数日で、俺の受忍限度は著しく高まっていると推察される。

 

「クラウド……俺に任せるという約束だったろう?」

「……でも……でも……オレ……」

「ずっとこの家で、おまえの傷を手当てしてやったのは俺だぞ? 今さら不快に思ったりしない」

「……レオン……」

 

「……こうして、な」

 俺は素早く彼の腕を取った。

 そのまま、背を抱き、衝撃を与えないよう、寝台に押し倒す。

 

「……レ、レオン」

 驚く彼を横目に、留め掛けられたボタンをはだけ、うっすらとピンク色に残った傷跡に接吻した。薄い腹がびくっと波打つ。

「……こうして、治してやれたらいいんだがな」

「……ッ」

「大丈夫だ、こんな傷、すぐに消える……」

「……う……ん」

  

 クラウドの上衣を腕から抜き取り、ベッドの下に落とす。

 直に肌を触れ合わせると、鼓動が聞こえてくる気がした。

 こんなときにおかしなことを……と笑いたくなるのだが、「ちゃんと生きてここにいる」と感じられる瞬間とでもいおうか。

 

「……あッ……ッッ……」

 時折、クラウドが小さな声を上げる。

 脇腹や二の腕にまで付けられた、紅い傷跡を辿った。

 

 軽く歯を立てたり、舌先でくすぐるたびに、敏感に反応する。

 だが、肉体は興奮しても、なかなか緊張が解けないのだろう。

 時折強く、身体を強ばらせるのであった。

 

 腹のあたりに感じる、クラウドの下肢が熱い。

 同じ男だから、彼の肉体が十分に反応しているのだと理解できる。

 それは俺にとって喜ばしいことであった。

 自分の愛撫に彼の身体が応えてくれていること……セフィロスでなくても愛してやれるのだと身をもって証明したことになるはずだ。

 

 ……だが、問題はここからだ。

 ……あくまでも俺の中での問題だが……

 

 何度も言うようだが、俺はこういった方面には疎い方だったし、女性相手でさえ、それほど経験はない。

 ましてや自分と同じ男……容姿は整っているし、とても綺麗なヤツだとは思うが、紛れもない男性を相手に、最後まで責任を果たせるのだろうか……?

 

 有り体に言えば、クラウドを傷つけることなく、入れ……い、いや、最後までできるのかということだ。

 男性同士の場合、もともと受け入れる器官ではない部位を使う。それくらいの知識は持っている。

 ……だからこそ、経験のない俺では、無理なのではなかろうか。

 

 それを考えると目の前が、グラグラと揺れてくる。

 だが、もう後戻りはできない。

 ……あまりにクラウドがつらそうだったら、途中でやめればいい。それまでは最善を尽くそう…… 

 俺はそう決心した。

 

 クラウドがかなり苦しそうだ。

 吐息も早く、顔が真っ赤だ。固く立ち上がったものが、服地に阻まれもどかしいのだろう。

 

 手を差し込み、驚かせないよう太ももと臀部を撫で、下衣をまとめて降ろしてしまう。

  

 一糸まとわぬ裸体が、さすがに恥ずかしいのだろう。

 彼は唇を噛んで息を止め、俺から身体を隠すように身じろぎした。

 

 目線を逸らせる彼を上向かせ、もう一度口づける。

 そのまま下肢に手を伸ばし、もはや解放を待つばかりのそれを、片手でそっと握り込む。 

 クラウドの身体が、うちあげられた魚のようにビクンと撥ねた。

 ゆっくりと刺激を加えてやりつつ、喉、胸……そして脇腹を啄む。

 

「あっ……あっ……ああッ……レ、レオ……ン」

 切羽詰まった声が、薄い口唇から漏れた。

 これまで時折、堪えがたいように小さな声を上げることもあったが、それとは明らかに声音が異なっていた。

「ああッ……あッ……あッ……レオ……ン」

 下腹でうごめく俺の頭に手をかけ、髪に震える指を差し込む。

「んッ……あっ……あッ……レオン……もっ……と……ああッ」

 悲鳴じみたクラウドの声。

 俺は自分の肉体が、火照ってくるのを感じていた。

 直接触れなくても、相手の声だけで興奮できるのだと初めて知った。

 

 足の付け根を押し開き、それを口腔に含む。

 もちろんしたことはなかったが、これがどれほど性感を刺激する行為なのかは知っている。

「ああッ……やッ……レ、レオン……! ……ッッ!!」

 ガクガクと白い脚が震える。

 先端を舌先で刺激し、軽く歯を立ててみた。するとクラウドの身体が、電気ショックを与えたようにビクンと反応する。

 

「やッ……レオ……も、ヤメ……」

 ぐいぐいと髪を引っ張り、抗うクラウド。

 ここでやめられる方がツライのではないかと思うのだが。

 

 一度、吐精させると肉体は弛緩するはずだ。

 俺は、彼を解放に導くべく、熱くたぎったそれに舌を絡ませ、吸い上げた。

 

「……んあッ……や……ッ……あああッ!!!」

 ぐぐぐと薄い腹をせり上げ、のけぞるクラウド。

 彼は、呆気なく俺の口腔ではじけた。