『被虐の王子〜尻奴隷の悦楽〜』
 
<3>
 
 KHセフィロス
 

 

「あッ……あ、あぁ……はぁッ」

 私はひどくゆっくり進む時計の針を凝視した。

 後少し……あと五分と三十秒……

 ジェネシスはあぐら座になると、私に声を掛けた。

「『セフィロス』、身体を起こして、俺の前に座って」

「な……に……」

「いいこだから、言われたとおりにして。でないと我慢の時間を長くしてしまうよ」

 身体を持ち上げるのさえ、こんなに時間がかかるのに。

 しかし、これ以上、時間を延ばされては気を失ってしまうかも知れない。私は膝行るようにして、ジェネシスの元にたどり着いた。

「よしよし、じゃあ、こうしてね」

「ひッ……!」

 ジェネシスは楽々私の身体を持ち上げると、あぐら座の上に乗せてしまった。

「これで君のお腹の様子が探れる。さぁ、マッサージをしてあげよう」

「い、いやぁ……やッ! はなせ……!」

 腕を振り回そうとした私を、ジェネシスはあっさりと押さえ込む。背後から抱きすくめられてはいかんともしがたいのだ。

「ダメだよ。ほら……気持ちよくなるマッサージだ」

 そう言いながら、彼は私の腹をゆっくりと円を描くように撫で始めた。

 ときおり、ゴロゴロと腹の鳴る音が響き、ぎゅっと下腹が引き絞られる。

「可愛いね、君は……気位が高いクセに、セックスには従順で、いくらでも快楽をむさぼろうとする」

「やッ……ちが……う」

「お腹がよく動いてるね。大分具合がよくなってきたかな。しかし、具合がいいといえば、君のコレもすぐに反応してしまうね」

 ジェネシスはそう言いながら、すでにそそり立っている私のペニスを指で弾いた。

「あぁ……ん」

 鼻にかかったような甘い声が漏れる。

「お尻の孔をマッサージしているときにもイッてしまったよね。君の後ろはもう十分な性感帯になっているようだ」

 そういって、ジェネシスは汁を垂れ流す私のものを、ゆるりと手のひらで包み込んだ。

 そのまま、ゆるゆるとしごきあげられて、今度こそ、私は悲鳴を上げた。

「やだ……ッ! ダメだ……そんなこと……したら……」

「どうして?いきたくてたまらないんでしょう?本当はまだお預けのつもりだったんだけど、特別に許してあげよう」

「ダメだっ……お腹が……尻がもう……」

 ぼたぼたと生理的な涙が、あぐら座をかいているジェネシスの腕にこぼれ落ちた。

「良すぎて泣いちゃうんだね。まったく君は可愛い……」

 そういいながら、ペニスをしごく手を早くした。

「あッ……やん……ああッ……ひぃ……」

 私はジェネシスの腕の中で、胴震いをし、噴水のそれのように精液を噴き上げた。

 

 

 

 

 

 

「よし……十分。よく我慢したね」

 いいこいいこというように、彼は私の尻を撫でた。

 先ほどと同じように、私は四つに這い、ジェネシスに尻孔を向けた格好に戻されていた。

「は、はやく……抜いて! トイレに……」

「ふふ、あんまり可愛いから、後もう五分引き延ばしてやろうと思ったけど、最初に十分って約束しちゃったからね。栓を抜いてあげるよ」

「は、はやく……!頼む……」

 ジェネシスは急かす私を敢えて焦らすように、アナルプラグを押し込んだり、動かしたりしてみせて、具合を確かめていた。

「も、もれてしまう……! 早く……」

「抜いても漏らさないで、お手洗いまでいけるかな」

 こくんこくんと私は何度も頷いた。

 ジェネシスは、ようやくアナルプラグの栓を解除すると、ずるりとそれを抜き去った。

「あッ……あぁッ!」

 私は、夢中で起き上がり、あらかじめ扉を開いてもらっていた手洗いへ飛び込んだ。

 体内のありとあらゆるものが流れ出ていく感覚に、私は安堵の吐息をついたのである。

 

「さぁ、『セフィロス』。もういいだろう。今度はバスルームに行くよ」

 と、浣腸道具一式をもったジェネシスが言った。

「な、なに……もう……する必要は……」

「最初に言っただろう。今日はお腹の中をすっかり綺麗にしてやるんだ。そうじゃないと、楽しめないことがあるからね」

「い、いや……いやだ、もう……」

「どうしてもいや? それじゃ帰る?」

 あっさりと言われて、なぜか私はそれに頷けなかった。

 本当なら、このひどい仕打ちをした男を殴り、そのまま自分の世界へ戻れば済むことなのに。

「最初の浣腸がきつすぎたかな。ちょっと可哀想だったけど、慣れてくればとても気持ちがよくなるはずだよ」

「そんな……はずは……」

「さぁ、『セフィロス』。このマットの上で四つん這いになって。浣腸液が透明になるまで繰り返してやるんだ」

「ば、ばかな……そんなこと……」

「まだ途中だと言っているんだよ。でも後は入れて出しての繰り返しだから、我慢をする必要はないよ。入れるのもグリセリンじゃなくて、ただのお湯だからね」

「…………」

 俺の身体は背後から抱きすくめられ、マットの上に這い蹲らされる。

「さぁ、入れるよ。五回もやれば、すっかり綺麗になるさ」

「ふ……あぁ……あ……」

 さきほどよりもずっと早いペースで、嘴先から湯が流れ込んでくる。

 苦しくてただつらいだけの行為なのに、なぜか私の男根は力をもたげて立ち上がってゆく。もはや自分でも信じがたいくらいなのだ。

「はい、出してごらん」

「いや……見られる……の……いやだ」 

 私は緩慢に頭を振った。

「恥ずかしがらなくていいよ。いや、むしろ、君の恥ずかしいところが見たいな」

 ジェネシスはそういうと、私の腹の下から手を差し込み、排泄を強く促した。