〜Third conflict〜
 
<7>
 
 スコール・レオンハート<レオン>
 

 

 

 

 

 

 

 

 クラウドは案外重い。

 ……いや、そのままでは語弊がある。

 『重い』とは言っても、外見よりはという意味合いである。

 

 やはり彼も剣士で相当程度鍛えているのだろう。外見からして、無駄な肉はついていないが、しなやかな筋肉が全身を覆っているのがよくわかる。

 以前、セフィロスに付けられた傷が消えると、あらためて彼の肌の白さ、肌理の細かな美しさが引き立つようであった。

 

 俺はクラウドが満足するまで、深く口づけ、そのまま耳朶を嬲り、首筋に接吻した。

 ……ああ、いけない。

 今は跡を付けるわけにはいかない。自重して、軽く吸い上げるだけにする。

 

「……ん……あ……あッ……」

 鼻に掛かるような甘い喘ぎ。それでも必死に声を堪えているのがわかる。

 さきほど、クラウドが『女のほうがいいんだろう!』と怒鳴っていたが、今でも男よりは女のほうがいい。だが、それは『クラウド以外は』という前提がある。

 肌を重ねるたびにそう感じる。

 クラウドは強くて、乱暴で、ワガママで……そして脆くて可愛い。おそらくそのアンバランスさが魅力のひとつになっているのだと思う。さすがに本人には言えないが。

 

 引き締まった脇腹を啄むように口づけをくり返し、すでに十分な固さをもった中心を片手で押し包む。軽く刺激してやるだけで、それはビクビクと反応し、限界を訴えた。

「んッ……あッ……、レ、レオン……声……出ちゃう……よ……」

 久しぶりのせいか、我慢が訊かなくなっているらしい。

 前への刺激を続けながら、仰け反るクラウドの頭を支え、俺はクラウドの唇を塞いだ。

 

「んんッ……ンッ……ンンンッッ!!」

 掌の中でクラウドがはじけた。ほとばしる悲鳴を俺は唇で吸い取った。

 

 ゼイゼイと白い胸が上下する。汗で額にはりついた前髪を撫で上げてやりつつ、俺はそこに接吻した。前髪をあげると彼は本当に幼く見える。十分、10代で通用してしまいそうだ。

 

「……大丈夫か?」

 俺は投げ出された身体を抱き上げ、耳元でささやいた。

「うん……」

 素直に頷いて、もたれかかってくる様が幼い。

「今度、レオンの番……」

 息も整わぬうちにそんなことを言う。

「いや……なんだかおまえを見ているだけで……イケそうだ」

 正直にそう告げた。

「……嬉しいけど……せっかく買ってもらったし……使おうよ」

 そういうと彼はイタズラっぽく微笑み、枕元からストロベリーフレーバーの、例の代物を出した。

 ……準備周到なことだ。

 

「……あ、なんか期待してたみたいでイヤなんだけど……でもやっぱせっかくだし……」

「……ははは」

 なんだか可笑しくて可愛くて、力の入らない笑いがこぼれ落ちる。

「俺、やってあげる」

 一度、吐精したせいで身体が落ち着いたのか、クラウドはそんなことを言いながら、そいつの袋を破り中身を取り出す。

 あろうことか、折り畳んだまま口に含むと、なんの躊躇もなく俺の股間に顔を埋め、手を使わずにそいつを装着してくれたのだった。

 

 ……こんなことを、いったいどこで覚えてきたのだろうか、彼は……

 驚きと困惑で、そのままの状態の俺のことなど置き去りに、クラウドはストロベリーフレーバーのそれを舐める。

 チュッ……チュッ……という吸い付くような音が聞こえ、彼のピンク色の舌が同じ色の避妊具にからみつく。いや、正確には避妊具を付けた俺のソレにだ。

 

「…………ッ……」

 声が漏れそうになるのを喉元で堪える。

 クラウドに我慢させて、自分が叫び出すわけにはいかない。

「ンッ……ンッ……ンッ……ンンッ……」

 クラウドの喉が苦しげな息を紡ぐ。喉の奥まで迎え入れ、舌先を辿って引きだした。それを俺の様子を伺いながら何度も繰り返す。

 ……これを誰が教えたのかなどと考えると、気分が萎えてくるので極力そういった雑念は払うことにしている。誰に教えられようと、どうされようと、今、彼の目の前に居るのは俺だ……それでいいと思っている。

「ンッ……ンッ……ンッ……」

 白い頬が桃色に染まる、膨らんだ陽物で塞がれた口腔がひどく苦しそうだ。それでも一生懸命、続けてくれる様はひどく俺の気をそそった。

 

「ンッ……ンッ……ンッ……レオン……キモチイイ?」

 ずるりと口腔からソレを引き出し、舌先で舐めながらクラウドがささやく。

「……ああ」

「……レオン……ぜったい、声出さないんだもんな……」

「……まぁ……な」

「やっぱ着ける前のほうがよかったかなァ」

 ……それならフレーバーはどうでもいいだろう。

 そんなツッコミを心の中でしながら、俺は気を逸らせていた。

 

「……クラウド……もう……いい」

「……そうなの?」

「ああ……続けられると……ヤバそうだ」

 俺の余裕のない物言いに満足したのか、彼は素直に離れてくれた。

 身体の熱に任せて、クラウドを押し倒す。もちろん乱暴な動作にならないよう、十分注意して。                 

 さきほどまで触れてもいなかったのに、彼の身体が十分興奮してしまっているのが不思議に思えた。

 だがむしろ好都合だ。リラックスしてくれれば、与える苦痛は少なくて済む。

 

「……クラウド……楽にしてくれ」

「……うん」

 そうはいうものの、やはり生理的な恐怖があるのだろう。

 俺の手が太ももをすべり、足の付け根から最奥へ忍びこむと、ビクリと身を強ばらせた。

 安心させるために、口づけをくり返し、指だけは後ろを解すために活動を続けるが、狭いそこはなかなか受け付けてくれない。

 繰り返された行為だとは思うのだが、彼の気持ちはともかく身体は慣れてくれないようであった。

 

 軽くため息をつくと、自分の興奮を収めるように、気づかれぬよう深く吐息した。

 クラウドの額に軽くキスを落とし、抱きしめたまま、身体を裏返しにする。

「え……レ、レオン……?」

「……久しぶりのせいかな……おまえの身体のほうが受け付けなさそうだ」

「だ、大丈夫だってば……」

「いや……できるなら……なるべく痛い思いをさせたくはない」

「で、でも……」

「クラウド、すまないがそこに這ってくれ」

 ……俺は物言いがストレート過ぎるのだろうか。

 そう告げたとき、クラウドが今までのどの時より真っ赤になった。