虎と狐
<14>
18禁注意
 
 加藤清正
 

    

 

……ッ、もう俺はいいから……おまえのを」

「いいから任せておけ。もう一度固くしないと入らないからな」

 どういう意味だ。横になったこの体勢で、どうするつもりだというのだろう。

 頭で考えていられたのは最初のうちだけであった。一度は精を吐き出したのに、三成の巧みな愛撫で、俺の半身はふたたび身をもたげ始めていた。

「ふ……やはり一度くらいじゃ足りないだろう」

 ズチュ、グチュという淫猥な音を立てて、彼の細い指が俺の陽物をしごく。

 とても聞いていられないような恥ずかしい音に、耳をふさぎたいほどなのに、俺の半身はしっかりと立ち上がり、十分すぎるほどに固く反り返った。

 三成は俺の体液で汚れた手を拭うこともせず、その手のまま、自身の下半身に宛がった。後ろにゆっくりと指を埋める。固く窄まったその部分は異物の侵入を拒むのだろう。三成の形の良い眉がつらそうに寄せられた。

「……ッ」

 声にならない吐息が、彼の唇から漏れる。

 俺は呆けたようにその媚態に見入っていた。

 自身の後ろを緩めるために、指を深く挿入し、徐々に数を増やしていく。

 俺と三成を取り巻く空気が、熱を帯び、濃密なものに替わっていくようだ。

 

 彼はようやく指を抜き去ると、俺の上にまたがってきた。

 反り上がった男根の上にゆっくりと膝を落とそうとする。

「あ……くッ……」

「三成、無理だ」

 苦しげな彼の顔を見て、俺は慌ててそう言った。肉体が交わるこのときになって、ようやくまともな思考が戻ってきたという気分だった。

「い、いい……から。おまえはそのままで……あッ……く」

 ゆっくりゆっくりと細い腰が沈んでいく。

 ハァハァと三成の呼吸が荒い。俺は半身を起こして彼の腰を支えてやった。男の細腰とはよくいったもので、三成のその部分は、俺の腰まわりよりも遙かに薄く狭かった。簡単に抱きかかえられそうな華奢な作りに、壊れないようにと力の加減が難しい。

 

 

 

 

 

 

「おい……手……使うな」

 三成がつぶやく。

「支えているだけだ、問題ない」

「じゃあ……そのまま下ろしてくれ」

 彼が言う。

「無理だろう……?狭くて苦しいんじゃ……」

「さっき慣らしたの……見ていただろうが」

 そうはいうが、今こうして半ばまで入っているだけで、ずいぶんとつらそうに見えるのだ。

「いいから……下ろせ」

 促しにしたがって、支えていた腰を自重に任せて下ろすようにする。

 ますます、圧迫感が強くなり、俺自身への快楽が強まる。

「い……あっ……ッ」

 喉から引きつったような悲鳴が上がった。

 それでも、三成は身をのけぞらせ、最後まで身を沈めると、俺の胸のあたりに両手をついて息が整うのを待った。

「ッ……あ……はぁはぁ……」

「おい、大丈夫か」

 手伝いはしたものの、こんなにつらいのなら、途中でやめればよかったと後悔の念が沸いてくる。

 こうして息の触れ合うほど側近くで見ると、三成の華奢な造作がよくわかるのだ。

 決して貧弱ではないが、俺や正則などに比べたらその作りがあまりにも頼りなげで心配になってしまう。

 細い顎、片手でくびれそうな細首、肩から胸の線がくっきりと浮いていて、胸板が薄い。