虎と狐
<15>
18禁注意
 
 加藤清正
 

    

「……動くぞ、貴様はそこに寝ていればよいのだよ」

 まだ息も整わぬうちに、そんなことを言い出す三成だ。

「お、おい、まだ無理だろ。なにをそんなにムキになってるんだ、おまえは」

「ムキになどなっていない。俺がしたいからしている」

 騎乗位の体勢で、腰を自力で持ち上げ、またふたたび沈めようとするが、繋がった部分があまりにも深く、三成だけの力ではかなり難しそうに思えた。

 俺は半身を持ち上げ、対面する姿勢に持っていった。

 いわゆる対面座位という体位だ。

「なっなっ、なんだ、寝ていろと言っただろう!」

 苦痛に顔をゆがめながらも、首筋から頬にかけて真っ赤になってしまう。自分でやり始めて、ここまで来ているというのに、顔を合わせるのが恥ずかしいというのだろうか。

「これでいいだろう。寝ていると腕が使えない」

 と、俺は言った。

「だ、だから手は使うなと言っているのだよ!また出血したら……」

「大丈夫だ。そんなに力は入れない。それより……その、俺が訊くのもなんだが……大丈夫か?」

「な、なに……を」

「……相当キツイだろ。こっちもギリギリだ」

 正直にそう告げると、乱れた呼吸をクッと飲み込んで、『大丈夫だ』と言い切った。

 いずれにせよ、このままでは互いに達することができない。

「三成、つらかった言え」

「……え」

 俺は困惑した風の三成を無視して、彼の腰に手を掛けた。細くて薄い肉の感触に不安を覚えるがいつまでもこのままというわけにはいかなかった。

 ぐいと腰を引き寄せるように持ち上げ、ゆっくりと下ろす。

 三成自身も俺の動きに合わせて、腰を上げようとするが、すでに足がガクガクと笑ってしまっている状態で使い物にならなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

「腕、俺の首に回していろ」

 そういうと、今度は素直に腕を伸ばしてきた。俺にしがみつくような体勢に不満があるのかもしれないが、もはや自身ではどうにも動きがとれなくなっているのを自覚したらしい。

 ぐっと持ち上げ、下に下ろす。すると、耳元で、

「あぁッ……!」

 という嬌声が上がった。

 彼のそんな声に、自身が反応してしまう。

 あの自尊心の高い三成が、俺の身体の下で乱れて声を上げるのを、いつから快感と思い始めたのか。

「い……ッ 痛ッ」

「大丈夫か。まだ苦しいか?」

 この細い腰だ、今俺をくわえ込んでいる部分も、ひどく狭い。強烈な圧迫感の中、彼よりも早く吐き出さないように堪えなくてはならない。

「だ、だいじょうぶ……だと言っているのだよ!」

 ふたたび腰を持ち上げ、下ろす動作を繰り返すと、ちょうど互いの腹に挟まれる形で勃ちあがっていた三成のものが、ビクビクと震えた。

「あッ……あぁッ!」

 彼の身体が大きくのけぞる。真っ白い喉が妙になまめかしく俺の目に映った。

 三成の絶頂は、俺を包み込んだ秘肉にも伝わり、自身が引き絞られるような快楽に目が回りそうになった。

 ここ数日の慎ましやかな生活のせいか、やはり若い身体は持て余しているのだった。

 ビクビクとその部分が痙攣し、三成が達したすぐ後に、俺自身も彼の体内に熱のかたまりを吐き出したのであった。