〜 ALL STARS 〜
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<13>
 
 レノ
 

 

「ちょっ、ちょっ……ちょっと、待ってよォォォ! なんで俺がそんなこと……!」

「君と私は外見的特徴が非常に似通っている。リーブ局長は了解済みだし、皇太子殿は私と面識すらない。まず見破られることはないだろう」

「いや、そうじゃなくって! なんでそんなこと俺がしなきゃならないのさ!」

 チョコボのような逆毛を立てて、クラウドが怒鳴った。

 ……ああ、そういや、ジェネシスが、こいつのことを『チョコボっ子』って言ってたっけ。

「……兄さん、テロリストやDGソルジャーに備えてだよ。連中にとっちゃパレードだの、オペラだのって、格好の襲撃チャンスだからねェ」

 ロン毛オカマめ!なんつー、深読みの男なんだ!しかもまったく外していない!

「そう、そのとおりだ。もちろん会議の席には私が出席する。だが、親睦関係の行事は君に頼みたい。……情けないが、私では、万一のときに、皇太子殿をお守りすることはできないだろう」

「…………」

 クラウドは未だ唖然とした表情のまま、社長を見つめていた。

「君たちの耳にも入っていようが、昨今、DGソルジャーと思われる神出鬼没のテロが増えている。おそらく三者会談の話がどこからか漏れたのだろう」

「ああ、そうか。新聞に載ってたのって、やっぱりDGだったんだね」

 とクラウドがつぶやいた。

「……そうだ。DGソルジャーという言葉はいっさい使わないが。そもそも彼らの存在は神羅の……それも、上層部の者しか知らないわけだしな」

「神羅が治安維持に尽力するとはいっても、相手は特殊能力をもつDGソルジャー。……ということで、オレ様たちがかり出されたわけか」

 ため息混じりにそう言ったのはセフィロスだった。社長が不安げに、冷たく整った彼の顔を見つめる。彼はさきほどから、まったく発言していなかったから、よけいに目を引くのだろう。

 

 

 

 

 

 

「……今回の会談は必ず成功させたい。皇太子殿のご威光と、WROという再生機構、そして神羅カンパニーが、力を合わせ、世界の再建に取り組むという姿を見せたいんだ」

「もっともらしいご高説だがな」

 と割って入ったのは、またもやセフィロスだった。ずっと黙ったままだったが、話の概要が見えてきた時点で指摘すべき事柄を口にすることにしたのだろう。

 ザッとすべての人間が彼に注目する。相変わらずのカリスマな野郎だ。

「なんだろうか? 何か有れば言ってもらいたい、セフィロス」

「ルーファウス神羅。そうすることでいったいおまえに……いや、『神羅カンパニー』に何の得があるんだ? 時間と金と気まで遣って、こんなサル芝居を演じることにそれほどの益があるのか? オレ様にとっちゃどうでもいいことだが、昔のおまえを知る者としては多少違和感を感じた」

「……ッ!」

 ツォンさんが立ち上がりかけたが、さりげなくルーファウス社長はそれを目線で宥めた。

「セフィロス…… そうだな。君たちがそう感じるのも無理からぬ事だ」

 社長は自嘲気味につぶやいた。ツォンさんが、心配そうに彼を盗み見る。

「ひとつは、人々が抱いている過去の神羅のイメージをすべて払拭したいということだ。これは大きな理由になる」

 一息で社長はそう言いきった。

「神羅が皇室やWROと良好な関係であり、人民の味方であると、認識してもらえれば、商品の不買運動や、研究所の設立に伴う住民の示威行為などもおさまるだろう」

「フン、結局はそんな話か」

「福祉機器などの新規制作は、これからの社会に必要不可欠なはずだ。……その、今回は君たちの家人にひどい迷惑を掛けてしまったが、医療品の開発も積極的に行おうと思っている。そのためには、人々の心から、神羅に対する反感を出来うる限り消し去りたいのだ」

『……そんな甘いもんじゃねェぞ、と』

 と俺は心の中でつぶやいた。もちろん社長にだってそんなことは言っていない。

 無茶な魔晄炉の設立や、強引な汲み上げのおかげで、いくつもの小都市が破壊された。

 そして例のメテオ事件。あれだとて、結果的に神羅の行いがきっかけであったと知る人は少なくなかろう。

 その中で家族と引き裂かれた者、恋人や友人を失った者たちの怨嗟の念は、そう簡単に拭い去れはすまい。

 だからといって、今回の三巨頭会談(?)が無意味であると言っているわけではないのだ。

 確かに例の事件を経験した者たちは、そう簡単に神羅への恨み辛みを忘れるとは思えないが、現時点において生き続けているなら、神羅が行ってきた人民の救済活動、無償の奉仕を見ているはずだ。

 そして安価な生活必需品を神羅が開発していけば、その恩恵にあずからぬわけにはいくまい。酷なようだが、『生き続ける』というのは、そういうことなのだ。

 さらにいうなら、世代は変わってゆく。

 いつか、メテオ事件を直接経験した世代が年老いてこの世を去り、まったく新しい子供たちがミッドガルで生活してゆく。

 そう、社長はカンパニーの未来を、ずっと先まで考えて今回の計画を立てた。

 ……ま、アレだ。

 腐っても社長だぞ、と。