〜 銀 世 界 〜
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
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 ヤズー
 

 

 

「よーし、全員集合。これより、こしゅ……戸主から、申し渡すことがあります」

「引っ込め、アホチョコボ!」

「兄さん、似合わな〜い!」 

「今、戸主ってトコで噛んだよね」

「ああ、チョコボッ子は、昔から舌足らずなんだよ。俺は可愛いと思うんだけどね」

「おめーら、うっさいんだよ! ちゃんと聞けッ!」

 あっという間に沸点に到達し、キレる兄さん。

 支配人さんまで苦笑をかみ殺している。きっと、これらのやりとりから日常生活を想像しているのだろう。

 なんせ、デフォルトが男六人所帯なのだ。

 賑やかを通り越して、騒々しい状況が常なのである。

「えー、まず〜、今日、新しいお客さんを二名迎えました〜。支配人さん、来てくれてありがとう」

「いいえ、こちらのほうこそ。本当に助かりました。差し支えなければ、いろいろとお手伝いさせていただきたく思います。なんでもおっしゃってください」

「支配人さんは居てくれるだけでいんだよ。ヴィンセントの話相手になってあげて」

 にこにこと愛想のいい兄さん。

 兄さんはヴィンセント似の支配人さんのことが大好きなのだ。なついているのは、容姿ばかりが理由ではない。

 配達の仕事でノースエリアに行くことの多い兄さんは、普段から、お菓子やお茶をごちそうされているのである。ちょっとした話相手も務めていることから、彼らふたりは思いの外懇意になっていたのだ。

「チョコボッ子。ふたりの客人と言っておきながら、俺の方には振らないのかい?」

 心外と言うよりも、そんなクラウド兄さんの態度を面白がりつつ、ジェネシスが口を挟んだ。

「あ、どーも。ま、来ちゃったモンは仕方がない。ヴィンセントや支配人さんに手ェ出したら許さないからね。アンタはひたすら家事手伝いしててくれれば置いてやるから」

「ずいぶんな待遇格差だなぁ。アッハッハッ」

「自分の胸に手を当てて、よ〜く考えてよね、ジェネシス」

 と、兄さん。

 話が一区切りしたところで、俺は口を挟んだ。

 

 

 

 

 

 

「はーい、ちょっとこれからは真面目な話ね」

 自然、皆がこちらに注目してくれる。

「えーと、現在、プロパンと水道はなんとかなっているけど、ガスのほうは、そろそろ燃料切れが心配なところです。電気の復旧は見通し暗いから、雪が止むまでは、別の方法で凌いでいかないとならないね」

「…………」

 なんとなく、場が静まってしまう。人数が増えて、明るく賑わったところ申し訳ないが、現実は現実として共通認識しておく必要がある。

「食料についてはご心配なく。我が家の貯蔵もかなりあるし、お二方からも甚大なご寄付を賜りましたので、二ヶ月くらいは余裕で籠城できるでしょう!」

 オーッという歓声が上がり、パチパチと拍手が湧く。

 

「……やはり、問題は暖を取る方法ですよね」

 一呼吸置いて、思案深げに支配人さんがつぶやいた。

「ねぇ、チョコボッ子。そこの暖炉は使えるのかい?」

 と、ジェネシス。

「うん、たぶん。実際使ったことなんてないけど、改築のとき、ちゃんと煙突にしてもらったから」

「……そうか。使えるのなら、そちらで暖を取った方が効率がいいな」

「まだ、ガスはあるけど……」

「この悪天候がいつまで続くかわからないからな。今朝もラジオを聞いたけど、見通しは不透明だよね」

 慎重にジェネシスが言った。

「でもさ〜、暖炉はあるけど、燃やすモンがないじゃん。薪なんか置いてないんだし」

「だから、切り出しに行ってこいと言っただろう、アホチョコボ」

「どーして、俺なんだよッ! 熊に襲われたらどうすんだ!」

「そうだな。チビチョコボなんざひと呑みだ」

「セフィ〜ッ! このォォォ!」

「もう、ちょっと脱線しないでよ! 大事な話の最中でしょ!」

 支配人さんの手前、俺はビシッ!と注意をした。もっとも、彼はひどく楽しそうに、声をかみ殺して笑っていたのだが。

「ええと……そうだね、暖炉を使うことも考えなきゃね。まぁ、いずれにせよ、今日はもう夜になっちゃうから。どうにも致し方がないよね」

「あー、もぉ、そんな時間〜? こう毎日雪景色だと、時間が経っているの、よくわからないよ」

 窓の外は相変わらずの銀世界。だが、そこに徐々に夜のとばりが落ちつつある。

「ま、暖炉の件は、早めに考えよう。さぁて、それじゃ、俺たちは晩ご飯の支度〜」

 俺はさっさと立ち上がった。

 こんなときだからこそ、一日三回、きちんと暖かな食事をとることが重要なのだ。

 ごく、当然のようにヴィンセントが立つと、支配人さんもそれに続いた。

「手伝わせて欲しい」

「いやいや、まだ疲れているのだからゆっくりしてもらいたい」

 そんな応酬があったが、あっさり支配人さんが勝って、一緒にキッチンに立った。