〜 銀 世 界 〜
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<15>
  
 ヤズー
 

 

 

 それから数刻後、俺たちは最後の目印ロープの場所へ到達した。

 数刻後とは言っても、家を出てからゆうに三時間は経過している。

 イーストエリアの突端に位置する我々の家から、内陸部の森林まではそれなりの距離がある上、車も使えずひたすら徒歩なのだ。おまけに足場が悪く、思うように前に進めない。

 逆に考えれば、その程度の時間で、ここまでやってこられたのは雪がひどくなかったという幸運に支えられてのことと思う。

「他にロープなさそうだよね。ここが終着地点……かな?」

 自信なさげに兄さんが訊ねる。

 無理もない。どちらを眺めても雪景色なのだから、辺り一面、似たような場所にしか見えないのだ。

「……ロープがないならおそらく。一番最初の目印は、セフィロスの姿が見えなくなった場所付近に結んだはずだからね。ただ……他に記憶に残っている風景がないんだよ」

「無理もないでしょう。……真っ白ですから」

 支配人さんの言葉通りなのであった。

「だ、だが、ここでこうしていても致し方がない……! さぁ、皆で手分けをして早く探そう!」

 と、ヴィンセント。目印の最終地点に到着して、居ても立ってもいられないといった風情だ。

「ちょっと待って。ほら、ヴィンセント。トランシーバー持って行って! 携帯の電波は入らないから!」

「あ、ああ、そうだな、わかった」

「ええと、集合場所はここがいいね。見晴らしがいいし。……それからトランシーバー……三つしかないから、適当に……」

「ああ、わかった! それではひとつ持っていくことにする!」

「では、私はヴィンセントさんとご一緒します。行きましょう!」

「ああ!」

 そっくりな面立ち、そして同じレベルのテンションを持ったふたりが、同時に飛び出してゆく。

 俺たちの止めるヒマもない勢いで、だ。

 

 

 

 

 

 

「……ヤズー……ペアで動くのなら組み合わせを考えるべきだったかな……」

 脱力した様子でジェネシスがつぶやいた。

「いや、もちろんそうなんだけどさ…… 言い出すヒマもなかったじゃない」

 俺は呆然としたままそう答えていた。ヴィンセントと支配人さんに迫力負けした格好である。

「支配人さんとヴィンセントじゃ、ちょっと心配だよな……」

「俺もそう思うよ、兄さん…… とか、言ってる場合じゃない。俺たちもさっさと動こう! ヴィンセントたちよりも先に、セフィロスを見つけたほうがいい」

 集合場所と定めたところに荷物を置き、ピッケルだのロープだのを取り出して臨戦態勢に入る。

 彼らよりも先にセフィロスを見つけたいというのは、なにも意地悪で言っているわけではない。

 ……もし、彼らが先に、崖下にセフィロスを発見したとしたら……

 ロープにセフィロスをつかまらせたとしても、ふたりの力で引き上げられるのだろうか。もろともに、ごろごろと崖を落下してゆくのがオチでは……?

  いやいや、セフィロスがただ引き上げられるだけということはなかろう。自力で這い上がってくるのをサポートするくらいだろうから……

 後、もうちょっとというところで、手を差し伸べるヴィンセントと支配人さん。その手を掴んだセフィロスが、勢いをつけて上がろうと引っ張ったとき…… 

 ……ああ、やっぱり、あのふたりが転げ落ちているシーンが浮かぶ!!

 

「ジェネシス、急ごう。セフィロスを見つけたら、無理をせず協力し合って引き上げよう」

「OK」

「そんじゃ、俺はこっちな!」

「兄さん、トランシーバー! 見当の場所までは一緒に行こう」

 俺たち三人は、ヴィンセントと支配人さんを気にしつつも、探索に出た。