嗚呼、吾が愛しの君。
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<13>
 セフィロス
 

 

 

 

 

 

 

『こちらクラウド、こちらクラウド、銀髪連合軍、どーぞ!』

「……普通に話せ、ボケナス。なにが銀髪連合軍だ。……状況を教えろ」

「兄さ〜ん!あのね、僕たちね! もうミッドガルに居るんだよ。中央塔の近くに隠れてんの〜」

「おい、カダージュ!俺にも貸してよ! あ、兄さん? 俺、ロッズ! あのね、今ね、ヤズーが……]

「すっこんでろ、クソガキども! おい、イロケムシ、ふたりを押さえとけ! クラウド早く言え、時間がない!」

『はいはい。予定通り陸上部隊は発進している。後20分も経たずに神羅ビル入りできるはずだ。俺はもちろん、フェンリルで地上から直で乗り込む。飛空部隊は居るがどちらかというと、地上戦の援護と指揮だな』

「DGソルジャーの本拠地は? 例の場所で間違いないのか?」

『うん。この前話したとおり。リーブが……WROの局長が言ってたから間違いないはず。神羅ビルの地下研究室だよ。それからディープグランドっていうの?」

『よし、わかった』

「ツヴィエートも各地に散っていたが、今はミッドガルに集まりつつあるらしい。蒼のアスールっつーのを、見たヤツが居る』

 クラウドのガキが、耳慣れない言葉を口にした。

 

「蒼のアスール? なんだ、そいつは」

『だから、ツヴィエートのひとりだよ。蒼い服でも着てんじゃねーの? なんか知んないけど狼男みたいな巨人なんだってよ。7番街の廃棄になった列車置き場で、姿を見た隊員がいるんだ』

「……ったく使えんガキだな、おまえは! それで、ヴィンセントは?」

『それがわかりゃ苦労しないよ! もう!使えないのはリーブだよ……あのオヤジ!WROの局長のくせにヴィンセントの動きもわからないなんて!』

「おまえに隠してるだけなんじゃないのか?」

『それはないと思う。真空飛び膝蹴りして聞き出したから』

 ……やれやれ、ガキのやることは直接的な実力行使だ。

 

『でも、今日、ヴィンセントも、神羅ビルに降り立ったのは間違いないはずだよ』

「……中央塔ということはないか。あそこにもそれらしい資料や研究施設があったろう」

『……え……そ、そうなの……ど、どうなんだろ……俺は神羅ビルのことしか考えていなかったから……』

「中央塔に立ち寄ってから、神羅ビルに移動する可能性は十分にあるな。よし、おまえはそのまま神羅ビルに向かえ。地下研究室へ直行しろ。ああ、まぁ……可能ならば、な」

『なにソレ。俺のことバカにしてんのッ? ヴィンセントに会うまで倒れるわけないだろッ! 俺を誰だと思ってるんだ』

「『銀髪軍団』の下っ端、金髪チョコボだろ」

『うるッさーいッ! もう怒ったぞ、セフィ! 俺のほうが絶対先にヴィンセントを見つけ出してやる! 愛の力を見くびるなッ! いいか、俺は二度とアンタに遅れを……』

 ブツッ!

 

「あ〜あ、いきなり切っちゃって。いいのォ? セフィロス」

 相変わらずののんびり声で、ヤズーが笑った。

「ガキが喚きだしたから切ったまでだ。それよりまずは三手に別れるぞ。イロケムシ、貴様は中央塔に回れ。ガキふたりは列車墓場を確認しろ。……オレはそのまま神羅ビルに行く。ツヴィエートらしきものに遭遇したら、逃がすな。その場でケリをつけろ。生かしておくと後々面倒だ」

「もちろん」

「うんッ!」

「まかせて!」

 三人三様に返事をする。

 

 存在の割れているツヴィエートとやらは、さきほどクラウドが言っていた『蒼のアスール』。『狼男のような巨躯の人物』だそうだ。そしてヴィンセントに怪我を負わせたという女……真紅な衣装を着た巨乳女が居る。

 ……もちろん、オレたちの与り知らない連中だって、まだいるだろう。

 

 だが、今は考えている時ではなかった。

  

「よし、行くぞ。しくじるなよ、クソガキども!」

「嫌だなァ、誰に向かって言ってるの? セフィロス」

「おまえらだ、おまえら」

「失礼しちゃうね。さて、出ようかな……」

 ヒュッと風を切ってヤズーが飛び出した。

 黒煙を吹く空に、銀の髪が妖しく煌めく。

 

「そんじゃ、僕たちも行くか! 足引っ張るなよ、ロッズ!」

「偉そうに言うなッ、カダージュ!」

「おい、貴様ら! 子供のケンカはヴィンセントが帰ってからにしろ!」

 そう一喝してやると、ふたりは素直に「はぁい」と応じ、飛び去った。

 チビガキ・カダージュが最後まで、不満げに頬を膨らませていたのは気に入らなかったが、今はそんなくだらないことに心を煩わされている場合ではない。

 

 

 ……ヴィンセント。貴様は今どこに居る……?

 答えが無くともかまわない。最期におまえが行き着く場所……そこの見当さえついていれば、いずれ落ち合えるはずだ。

 ……貴様が先に死ななければな。

 

 DGの温床。

 最強のDGソルジャーの眠る、最下層の研究所……ディープグラウンド。

 おまえは間違いなく、その場所を突き止め、歩みを進めているはずだ。

  

 ……死ぬなよ、ヴィンセント……

 ふたたび、そのマヌケ面をオレの前にさらしてみせろ。

 

 すぐ……迎えに行く。