ニャンニャン。
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<5>
Interval 〜02〜
 クラウド・ストライフ
 

 

 

 

 

 

 頑なに閉じ合わされている両の脚を押し広げ、足の付け根をきつく吸う。

 すると、彼の薄い肌には、たちまち出血したような紅い痕が着いてしまうのだ。

 すでに固く張りつめ、先端に露を含んだそれ。わざと触れずに、周辺への緩慢な愛撫を施すと、焦れたように腰が蠢いた。

 本人には自覚がなかろうが、こんなときのヴィンセントは本当に色っぽい。

 

 きつく寄せられた細い眉……透き通るような蒼白い顔に朱がのぼり、細い指がシーツを握りしめている。

 俺は、つらそうに唇を噛んでいる口唇にキスをすると、片手でその部分に触れてやった。

 ビクビクと小刻みに身を震わせ、しなやかな喉がぐぐぐと仰け反る。

「ん……ッ!! ああッ……!!」

「……いい? ヴィンセント」

 ゆるゆると刺激を与えながら俺は訊ねる。

 

「……あッ……あッ……んんッ」

 ヴィンセントはあわてて片手で口を塞いだ。もはやそんな余裕はないだろうと思っていたのに、彼の羞恥心は並ではないのだ。

 

「いいじゃん……聞こえたって」

 挑発するように俺は言ってやった。目を瞑ってかぶりを振るヴィンセント。

「……ホント、我慢強いよね、アンタは。いいよ、一回イカせてあげる」

 多少意地の悪い言い方で、耳朶にささやきかける。

 

 怒張した先端を、爪先でひっかけるように刺激し、もう一方の手でそのまま軽く上下にしごいてやっただけで、彼は呆気なく一度目の解放を迎えた。

      

      

★ 

     

 

「あ……はぁっ……はっ……はぁ……」

 ぐったりと弛緩した細い身体。荒い呼吸をくり返す様は痛々しくさえ見える。

 長い睫毛に水滴がたまっているのを、唇で吸い取ってやり、俺は彼の足先に触れた。

 

「……まだまだだよ、ヴィンセント」

「……あ……? ク…ラウド?」

 くすぐったかったのか、ヴィンセントは掠れた声で俺の名を呼んだ。

 それこそ、猫のように、彼の足の指の間を舐め、指を銜えてしゃぶる。

「……や……くすぐったい……」

「『ヴィン』より上手いでしょ」

 小さく笑いつつ、そう言ってやった。

 こんな場所でも感じるのだろうか、達したばかりだというのにヴィンセントの息が上がってゆく。

 

「ね、ヴィンセント……して?」

 足の指から口を離し、惚けたように半身をヘッドボードにもたれかけている彼に、そっと耳打ちした。

 別にしてもらわなくても、十分イケそうだとは思うが、なんとなく今日はその気分なのである。

 ベッドの下で、愛らしい『ヴィン』が、きょとんとこちらを眺めているせいなのか、未だに居間の様子をうかがう、ヴィンセントにもどかしさを感じたせいだろうか。

 

 ヴィンセントは俺の言葉に従順だ。

 自分がされるほうは、何かにつけて臆病だが、俺が教えたことは素直に実践してくれる。もっとも、自分から積極的にイロイロ試してくるわけではないが、そういうほうが俺的には好ましい。

 勝手な言いぐさかもしれないけど、いつでも恥ずかしそうに困惑しているヴィンセントが好きなのである。

 

 ベッドの上にあぐらをかいた俺の前に、手をついて身を伏せるヴィンセント。自覚があるのかないのか、その格好は上から眺める側としてはひどく扇情的だ。

 骨の浮いた華奢な背……細い腰から臀部まですべて見通せてしまう。

 

 薄い舌が、すでに怒張しつつある俺自身に触れる。

 熱くてやわらかな彼の口腔に含まれただけで、すぐにでも達してしまいそうだ。さすがにそれでは情けないので、いつも必死にこらえることになるわけだが。

 

 チュ……と先端に吸い付き、舌をからませてくる。

 十分過ぎるほど丁寧にしゃぶってみせたあと、ちゃんと教えたとおりに、徐々に奥の方まで招き入れ、引き出す。

 ゆっくり……ゆっくりとだが、何度も繰り返すヴィンセント。

 まだまだ上手くはできないし、俺の反応をうかがう余裕もないが、綺麗な顔を歪め、眉をよせ、それでも一生懸命奉仕してくれる様が本当にたまらなく可愛い。

 

「……んッ……んッ……んッ……」

 苦しげな息づかいが、ふさがれた喉元から聞こえる。

 下肢でうごめく黒髪に指を差し込み、あやすように撫でてやった。

「ん……上手くなったね……ヴィンセント……すご……気持ちイイよ」

 時折、紅い舌がチラチラとのぞく。

「ふふ……アンタのほうが猫みたいだね」

 俺はそうささやくと、未だ言われたとおりのままに、奉仕を続ける彼の頬に触れ、乱暴にならない動作で、そっとそこから外した。

 つ……と唾液が銀の糸をひく。

 このまま続けられたら、実際、ヤバそうだったのと、少しばかりの思いつきでだ。

 

「ヴィンセント……」

 俺は無防備に半分開かれた、薄い唇に口づけ、さっきと同じように、耳朶、首筋……そして胸元を愛撫しながら、彼の後ろに回った。そのまま抱きしめてやる。

 ヴィンセントは、未だにぼうっとしたまま、夢見心地だ。

 体温が低いせいか、熱に弱いのと、やはり体力がない。

 脇から腕を差し込み、せわしなく上下する胸を撫でてやる。

 ツンととがった突起を、指先で刺激し、軽く爪を立ててやると、背を仰け反らせ、声にならない悲鳴をあげた。

 

「細っそい肩……これでよくマグナムとか撃てるよね」

 筋の張った白い肩に歯を立てる。

 彼が下を向いた拍子に、紅の双眸から、ボトボトと涙の粒が落ちた。

 

 ヴィンセントはよく泣く。

 声を上げて泣くわけではなくて、肉体の反応がそのまま涙腺に直結してしまっているようだ。

 つまりは生理現象であるらしい。

「俺……アンタの背中の線とか……大好き。さっき……してくれたとき、ソコばっか見てた……」

 耳朶に息を吹きかけ、滴るようにささやいた。

「あ……クラウド……もう……」

「ん……? 疲れた……?」

「苦しい……」

「ふふふ、ホント体力ないね、ヴィンセントは。そんなトコ、可愛いけどね」

 俺に寄りかかるように座らせ、ふたたび頭をもたげた前に指を這わせる。

 途端に跳ね上がる細い身体。体力はなくても感度良好だ。

 

「……んんッ……あッ……あッ……クラ……っ!!」

「……ん……俺ももう……ちょっとキツイかな……よいしょ」

 後ろから支えたまま、前のめりに身体を起こす。

「やっ……」

 ヴィンセントが、すぐさま短い声をあげ、俺の腕をほどこうと暴れた。

 彼はこの体勢が嫌いなのだ。四つに這った、動物的な格好が。

 いつもは強いるようなことはしていないが、なんとなく今日は、いささか無理をしてでも、このまま繋がってみたかった。

  

「ほら、ヴィンセント……その格好なら、『ヴィン』ちゃん、見えるだろ」

「……ク、クラウド……ッ!」

 悲鳴じみた声音に、少しトーンを落とした声で答える。

「……広間、まだセフィたち起きてるんじゃない?」

 ビクッと背が震えた。

「いや……だ……こんな……かっこ……う……」

「大丈夫。全然恥ずかしくないよ……力抜いて、ヴィンセント」

「……やッ……いやだッ……」

 少しでも不安を取り除くために、あやすように背後から抱きしめてやる。もちろん、体重をかけないように、十分注意しつつ。

 ベッドの上に着いた両腕がガクガクと震えている。どうしてもこの体勢だと、ヴィンセント自身が、自分の身体を支えなければならない。崩れてしまうと、それこそ下肢を高く掲げた、犬猫の格好になってしまう。

 

「……ク、クラウド……い、いや……」

 シーツの上に、パタパタと涙が落ちた。

 ……セフィロスではないが、こういう彼の姿を見ると、もっと酷いことをして泣かせてやりたくなるような……抱きしめて撫でてやりたくなるような、相反するふたつの気持ちが拮抗する。

「……ク、クラウド……」

「ん……大丈夫……俺しか見てないから……力、抜いて、ヴィンセント……」

「…………」

 観念したのか華奢な姿態が従順になる。

「そう……いいコ……だね」

 震える腕はそのままだったが、緊張した身体から力が抜けた。

 無防備にさらけ出された後ろを、両手で押し広げ、淡い色に息づく最奥を探り出す。

 

 シーツを握る指に力が入った。

 関節が真っ白になるほどの力で握り締めるヴィンセント。肩をわなわなと震わせ、俯いているのは、激しい羞恥のせいだろうと思われた……