Radiant Garden
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<8>
 
 ジェネシス
 

 

 

 

「めずらしくも誘ってくれたのはいいけど…… 何なんだい? おまえはいつからこんなに超健康派になったの?」

 ノースエリアからイーストエリアに向けて、ざくざくと海岸線を下ってゆくセフィロスの後を追う。

 セフィロスから誘いのあることなどほとんどない。ヤズーやヴィンセントからはよくメールが来て、食事を一緒などはよくあるのだが。

 今朝方いきなり携帯が鳴って、『今、マンションの下にいるから降りてこい』と言われたのだ。

「ああ、今日も暑いな。セフィロスは日焼け対策、どうしているんだ?」

 炎天下の海岸など、水着を着ていなければ、ただのゴーモンだ。さりげなく話題をふるが、何故か反応はいっこうに、はかばかしくない。それどころか、なにやら捜し物でもしているかのように、真剣な面持ちで歩いている。

「なぁ、セフィロス。街にもどって喫茶店にでも……」

「いいから、黙って歩け! オラ、気持ちいいだろ。青い海、白い雲……」

「それはまぁそうだけど。俺としては早いところ、涼しい場所に行きたいな。女神の居る君たちの家なんて最高だと思うけど?」

「だあってろ! ったくテメェって野郎は情緒のねェ……」

「おまえに『情緒』などといわれるとはねぇ」

 両手を広げて、やれやれといったふうに頭を振る。

 せっかく今日はおニューのシャツに、スラックスで来たのに。もちろん、女神に会えるかも知れないので、きちんとジャケットまで持参した。

 まさか、セフィロスと男二人連れで、海を眺めながらのウォーキングになるとは……

 

 

 

 

 

 

 セフィロスは普段の歩き方より、大分遅いテンポなので、うっかりすると俺が追い抜いてしまいそうな感じなのである。

 時折、後ろを振り返ったり、海の近くまで寄ってみたりして、小さく舌打ちなどをしているのだ。

「……ところで、何か話があるんじゃないのか、セフィロス? でなきゃ、わざわざこの俺を連れて海岸のお散歩もないだろう?」

 いいかげん、黙って付いていくのも飽きたころ、俺はそう訊ねた。そうしなければ、いつになっても女神のいる、ストライフ別荘には行けそうになかったから。

「……まぁな。たいしたことじゃないんだがよ。おまえ……この海岸線を歩いてきて、何か違和感とか感じたか?」

「違和感? ずいぶん曖昧な物言いだね。具体的にはどんなことだ?」

「フン、別に何も感じないなら、それはそれでいい。まぁ、テメェも役に立たねぇ男だってことだ」

「おい、失敬だな。もう少しわかりやすく言えよ」

 いささか気分を害して、そう聞き返した。何のことを言っているのかさえわからなければ、回答のしようがないではないか。

 

「いや、ホレ、あれだ。前に話したろ。あっちの世界のクラウドやらレオンが、ここに来たって……」

「ああ、何やら興味深い話だったね」

 そうあちらの世界の『セフィロス』は、とても蠱惑的で魅力のある人物であった。

 ……とはいうものの、さすがに目の前に居る方の彼には言えない。

 その話を彼らから聞かされてから、少し後、あちらの世界の『セフィロス』は、ノースエリアにひょっこりと現われたのだ。

 街灯の下にぼんやり突っ立っていた彼を、俺は自宅に保護した。まぁ、その間に、色々と文字にしがたいこともしたし、何より彼自身に、自分がコスタ・デル・ソルに居ることを、ストライフ一家に告げぬように言われた。

 それは、文字にしにくいアレやコレやが理由ではなく。単にヴィンセントやあの家の人間たちを騒がせるのが不本意であったのと、おそらく「面倒くさい」というのが、本音だったのではないかと思う。