Radiant Garden
~コスタ・デル・ソル in ストライフ一家~
<18>
 
 ジェネシス
 

 

 

「バーカ。オレ様があの程度のヤロウ相手にケガなんざするか」

「セ、セフィロス……!」

「ああ、彼の圧勝だった。俺も見ていた」

 リクはそういうと、レオンに告げた。

「敵はナンバー8のアクセルだ。戦闘能力はとても高い相手だが、それでもセフィロスの敵ではなかったということだ」

「フン!」

 偉そうにセフィロスが鼻を鳴らせた。驚いたことに、まだおかわりを繰り返していたようだ。

「なかなか美味いな。おまえ、男のくせにずいぶんと器用だな」

「え…… あ、ああ、口にあったのならいいが…… いや、そんな話をしている場合じゃないだろう。それで、どうなったんだ!?」

「どうもこうも、このマヌケの隙をついて逃げ出したんだ。ケッ、けったくそ悪ィ」

 そこまでいうと、もう話に加わるのが面倒くさいというように、食事のほうへ集中した。

「……まぁ、弁解させてもらうとすれbだね、レオン。その男……ああ、アクセルとかいったかな。そいつは、まさしく空間のよじれを利用して身を退いたんだ。闇の中に融け込むように見えたよ。そこはなにやら人為的に作りだされたようで、俺もすぐには気づけなかった」

「人為的……?」

 レオンがそう繰り返したので説明を付け足す。

「ああ、水晶の壁に暗い空間ができた。そこに滑り込んだんだ。……よくわからないが、『空間のよじれ』というのは、いきなりぽっかりと穴が開く訳じゃない。ある程度の時間を掛けて作られるものだと思うんだ。少なくとも俺たちが通ってきたのはそういう場所だ」

「…………」

 黙ったまま、彼がうつむく。

「レオン……やっぱりだ…… やっぱりだよ、ゼアノートのノーバディが……」

「なぜ、こんなことに……やはりあの城が……だが、今は城には誰も……」

「相手はゼアノートだ。希代の科学者であり発明家だ」

「おまえから話を聞いたとき、いずれこのときがやってくるとは思っていたが…… だが、まだ早い……早すぎるんだ」

 

 

 

 

 

 

「あー、ちょっと待って。話についていけないや」

 なんとか理解したいと考えていた俺は、ふたりにストップを掛けた。セフィロスなどは最初から興味すらないのか、口さえ開かない。

 ……もっとも、食欲を満たすための口は開きっぱなしだが。

「あ、ああ、すまない。つい……」

 ふと我に返ったようでレオンが謝った。鉄皮面のせいで、それほどダメージがあるようにも見えないが、どうやら彼は今現在の出来事をひどく怖れているように見えた。 

 彼自身が13機関とやらに恐怖しているというよりも、街の皆を守る準備ができていないという様子だ。

「そのゼアノートというのは、何者なの? ノーバディっていうのは?」

「あ、ああ……そうか。アンタたちは、13機関の構成員には出くわしたが、ノーバディやハートレスには遭遇していないんだな」

「ハート……レス? 何やら耳慣れない単語ばかりだ」

「そうだな。別世界から来たアンタたちにとっては、初めて聞くことばかりだろう。順を追って説明しなければ……」

 レオンがそういったとき、玄関先のほうから、

「たっだいま~! レオン、いる~!?」

 という、この場にそぐわない陽気な声が聞こえた。

 レオンがこめかみを軽く押さえる。

「レオン、クラウドの分、温めるから。早く行ってあげなよ」

 苦笑混じりにリクが、そう言って席を立つ。どうやら、こちらの世界のチョコボっ子が帰宅したらしい。

 姿形はそっくりでも、魂のありようには、大分隔たりのあった、『セフィロス』同士。

 果たして、クラウド少年はどうなのだろうか?

 ほんの少しわくわくとしながら、俺は扉が開くのを待った。