Radiant Garden
~コスタ・デル・ソル in ストライフ一家~
<24>
 
 レオン
 

 

 

 

「フン、聞けば聞くほどふざけた野郎どもだぜ。テメーらが勝手にノーバディとやらになったくせに、今度は他人の心を奪ってまで、キングダムハーツとやらを完成させる……か。まぁ、そんな連中の道理に従う必要もないだろう」

 吐き捨てるようにセフィロスが言った。

「同感だな、セフィロス。さすがに勝手が過ぎるというものだよ」

 ジェネシスが同意を示す。

「やっぱりオレの考えは変わらん。自警団に街の安全確保を任せろ。こっちはこっちで、自由に動くべきだ。……おい、レオン」

 いきなりセフィロスに名を呼ばれ、少々焦る。俺としたことがやや感傷的になっていたらしい。

「おい、ボケてんなよ。これからすぐにでも動くんだからな!」

「な、なんだ、セフィロス」

「13機関の連中の居所を突き止められないのか? それが無理でも、『空間のよじれ』が発生するときには、磁場が動くんだろ? ならば、そいつを逆探知する方法はないのか?」

「え……あ、ああ。城のPCルームに、ホロウバスティオン全体を見回せるソフトが入っている。磁場の変化はそれで捉えられるが、街のほうはともかく、水晶の谷や城への道は、あまりにも不安定で、はっきりと割り出せるわけでは……」

「それなら話が早いじゃねーか。とりあえず、城に行くぞ。それまでの道すがらにでも、ノーバディだのなんだのを見られるかもしれないしな」

「セフィロス! 城の周囲はそれこそ、ハートレスにノーバディだらけだ。中にはボス級のものも居る。連中はいくら倒しても、数日後にはもう復活している。今は直接城には行かず、PCを遠隔操作しているんだ」

 現実的な状況を告げた。

 俺やクラウドならば、それでもなんとかすれば、城にたどり着くことができよう。だが、倒しても倒しても復活するハートレスやノーバディが相手では、ひたすら消耗戦を強いられるだけで、なんら得るものがないのだ。

 それでも、俺は何度か城へ行った。

 コンピュータ室の状態を確認するのもさることながら、もうひとりの『セフィロス』……そう、死の大天使と呼ばれる彼を捜しにだ。

 

 

 

 

 

 

「だからこそ行くんだろ。こっちは四人いるんだ。消耗戦でもなんでも、とにかく周辺の化け物どもを一掃する。上手くすれば、13機関とやらにお目にかかれるかもしれん。それにな……」

 セフィロスはそう言って、少し考えるような素振りを見せた。

「それに……どうもあの城……気にくわん。賢者なんとかが住んでいたんだろ? そして今の13機関はそいつの弟子どものノーバディだという……」

「ああ、賢者アンセムの城だ。もとはこの地を治めていたといわれている」

「弟子に背かれるような野郎だ。たいしたことはねぇ。……だが、その弟子ども……13機関か……連中はあの城で研究を続けていたわけだ。少なくとも生身の間は」

 ゆっくりとセフィロスがつぶやく。

「そこを根城にしていたなら、なんらかの秘密が隠されていることだって考えられるだろ。そこへオレたちが、ズカズカ入り込んでいったら反応があるかもしれん。少なくとも昨日戦った男ならば、こっちがただの街の自警団だとは思わないだろうしな」

「それはそうだね……いずれにせよ、もっともひどいと言われる場所を見ておくことには賛成だよ。セフィロスのいうとおり、上手く行けば、何か手がかりがつかめるかも知れない」

 ジェネシスが同意を示した。彼は言葉も巧みだが、やはり元軍人なのだろう。まずは手応えを知りたいという様子で立ち上がった。

 

「よし、行くぜ。……ああ、レオン」

 わずかに声を潜め、セフィロスがオレの耳元で話しかけてくる。

「あの子はどうする?」

「クラウドのことか……?」

「たりめーだ。強いのは知っているが、万一、城で、死の大天使とやらに出くわしたら、まずいんだろう?」

「……ああ、クラウドはうち来てから、一度もひとりで城には行っていない」

「だろうな。今日は自警団からおまえが抜けるんだ。その代わりに、街のほうを頼んでおけ。主力がすべて城に行っちまうのはよくない」

「わかった、話をしてくる」

「どうもテメーは言葉が下手くそだからな。変に思われないよう、上手く言えよ」

 そういうと、セフィロスはさっさと部屋に戻っていった。ジェネシスもそれに従う。ふたりは帯剣帯刀していた。それらを取りに行ったのだろう。

 しかし……向こうの世界のセフィロスは思いの外、細やかな気遣いを見せる。

 クラウドを気に入ってのことだとは思うが、やや複雑な気分になる俺であった。