Radiant Garden
~コスタ・デル・ソル in ストライフ一家~
<34>
 
 セフィロス
 

 

 

「ジェネシスに何を訊ねたいのだ?」

「……なにをって……なんかおまえら親しすぎるじゃねーか。何なんだよ、この雰囲気は……」

「……親しくてはいけないのか?」

 素っ気なく聞き返してくる。

「ジェネシスの野郎が、オレとそっくりでおまえみたいにボケッとしたヤツ相手に……」

「ひどい言い方だなぁ。セフィロス、あっはっはっ」

「『あっはっはっ』じゃねーだろ! テメェこの男相手に……」

 オレがそこまで言いかけたときに、ひどく素っ気ない声が間に割って入った。

 

「……? 寝たのかという意味か? それがどうかしたのか?」

「おぉい、テメェ!」

 思わず、がっしとジェネシスの胸ぐらを掴み上げる。こみ上げてくる吐き気をもてあましそうだ。

 

「ジェネシス!おまえ、何考えてんだ! どうして、こんな野郎相手に……」

「いや……だって、綺麗な人じゃないか。なんとなくそんな雰囲気になって……」

 まぁまぁいう素振りで、オレをなだめようとするジェネシスだ。その手を乱暴に振り払って、言葉を続ける。

「貴様……綺麗な人って……ツラは、このオレと同じなんだぞ!? 気色悪くねーのか!?」

「まさか、気色悪いなんて思うはずがないだろ。セフィロスはとても綺麗じゃないか。もちろん、おまえだって……」

「やめろ! キモチワルイ! あぁッ!何なんだ、おまえらは!よくもまぁ、オレと同じツラ相手に……」

 そのときのオレは、軽くパニックになっていたのだと思う。目の前のへらへらした変態詩人と、自分そっくりの男が、身体を重ねることなど……想像するだけで、反吐が出そうになるのだ。

 

 

 

 

 

 

「お、おい、『セフィロス』……おまえ……まさか……」

「また、『まさか』か。何が気になるというのだ」

「決まってんだろ……おまえのほうが……その、う、受け……」

 最後までいうことができずにいるオレに、もうひとりの『セフィロス』はやや呆れたように口を開いた。

「ああ、どちらが上になったかという話か。貴様もたいがい下世話な男よな」

「テメェにだけは言われたくねェッ! おまえ……オレと同じツラで……まさか……」

「ああ、めずらしい経験だった。……そう、悪いものでもなかったな」

「うあぁぁぁ~ッ!」

 今度こそ頭を抱え込み、それこそ7階のベランダから飛び降りたくなった。

 

「ジェネシスーッ! 貴様…… 貴様…… よくも……」

「いやぁ、俺はそっち側は無理だから……」

「無理だからじゃねェ! 何考えてやがる! オレと同じツラを抱いて気色悪くないのか? そんなんでイケるのか!?」

「露骨だなぁ、おまえは。もちろん、気持ちよかったし、彼も満足してくれたと思うよ。気色悪いだなんて思うはずがないだろう」

 もうダメだ。オレのHPはレッドゾーンだ。

 これ以上、こいつらと一緒にいることは耐え難い。せめてリクのいる部屋へ戻らなければ……

 ああ、いかん!

 もうひとつの難題が残っていた!

 

「い、いいか、おまえらッ! 今の話は絶対にレオンするんじゃねーぞ。口が裂けても絶対にだ!」

 ゾンビのうめき声のようになりながらも、オレは連中にそう口止めをした。オレでさえここまでのダメージを受けているのだ。あの一直線男が今の話を聞いたとしたら……その先は予測できない。

「レオン……ホロウバスティオンの英雄に何の関係が……?」

 すました面持ちで『セフィロス』が言う。こいつ本当にぶん殴ってやろうか!?

「あぁ、まさかねぇ。いや、俺は全然知らなくて……そうだね、この話は彼には言えないな」

 と、たいして困惑しているふうでもなく、ジェネシスが苦笑した。

 

「レオンとやらに知られたからなんだというのだ。不快な……」

「貴様も少しは考えろッ! あいつがテメェに妙にこだわってんのは、態度を見りゃすぐにわかんだろ!」

「知ったことではない……きっとクラウドのせいだろう。今はアレが手元にいるから……」

「クラウドのことと、テメェのことはまったく別問題なんだよ! とにかくレオンには言うな! おい、ジェネシス、リクを連れて引き上げるぞ」

 オレはジェネシスを引っ張った。この世界のセフィロスが何をしているのかなんぞ、知ったことではない。だが、なまじ顔がそっくりなせいで、オレのほうがおかしな気分になってくる。

 この変態詩人……ジェネシスと寝たというだけでも、受け止めきれないショックなのに、レオンの面倒までみれたものではない!

 めまいがしてきて足下がふらつくが、オレはなんとかアンセムの寝室から出ようと試みた。