Radiant Garden
~コスタ・デル・ソル in ストライフ一家~
<63>
 
 セフィロス
 

 

「邪魔をするなーッ!後ほんの少し……一押しで、『死の大天使』のノーバディが誕生するのだ!どうだ、私の研究の成果は!」

 甲高い金切り声に、高笑いが続く。

 それは、アンセムの城の肖像画で見た男……ゼムナスではなく、そのとなりに居る痩せぎすの人物であった。

 どこか神羅の宝条を思わせる、狂気じみた雰囲気を纏っている。

 今にも舌なめずりして、涎をすすりそうな表情で、ガラスケースのなかの『セフィロス』を眺めているのだ。

 

「貴様が『セフィロス』をこんな場所に閉じこめたのかッ!」

 怒れる獅子のごとく、レオンが吠えた。

「ああ、おまえたちもなかなか材料としては良さそうだ。ヒヒ、特にそっちの男……『死の大天使』と同じ顔をもつ貴様からも、優秀なノーバディを作り出してやろう」

 キキキと歯ぎしりをしながら、こちらを指さし、不快な笑い声を立てた。

 どうやら、この痩せこけた醜い輩も、オレの知るマッドサイエンティストと同類の男らしい。

「おい、『セフィロス』を解放しろッ! さもなくばこの場で貴様を斬り殺す!」

 レオンが怒鳴る。

「ヒヒヒ、おまえはホロウバスティオンに居た……フフ、むざむざとこの『忘却の城』まで出向いてくるとは愚かなことよ。大人しくホロウバスティオンで、ハートレスにされるのを待っていればよいものを」

 無言のゼムナスとは対照的に、キチガイ科学者はよくしゃべる。

「おまえたちは、とてもよい素材だ……!ヒヒ、さぞかし、質の良いノーバディが作れるだろうよ、ククク」

「黙れッ!この……!」

 レオンが剣を構え、科学者に向かって牙を剝く。

「おい、落ち着け、レオン。気配を読め、シールドが張られているだろう」

 オレは低くたしなめた。

 一見、この場所と連中のいるところに、障壁はなくなったように見えるが、目に映らないシールドが張られている。ガラスケースのようなあからさまなものではなく、何らかの電波状の障壁がミリ単位で張り巡らされているのだ。こちらはうかつに剣で打ち壊せるものではない、得体の知れないバリアだ。

 

 

 

 

 

 

「キッヒッヒッ。さすがは『死の大天使』のかたわれ。よく見えているなァ」

 ひどく楽しげに科学者もどきが嗤った。ひどく大切そうに、コンピューターを撫で回している姿が気色悪い。

 オレはそいつを無視してレオンに向き直った。

「まずはこのガラスケースだ。『セフィロス』を引っ張りだす。同時に力をぶつけりゃヒビを作るくらいはできるだろ」

「クッ……そうか……そうだなッ!」

「あのバケモノ科学者は気にするな、いくぞ、テメェら」

 そう告げて、四人でガラスケースに向かって構えをとったときであった。

 中に居る『セフィロス』の様子が変わった。

 片膝を着いた身体がガクガクと震え、苦しげに喉元を押さえる。

 足元で蠢いていた闇が、ゾゾゾとその身体を包み込み始め、さらに激しく浸食してゆく。

「『セフィロス』!」

「チッ!どうやら時間がねぇらしいな。一気にぶちこわすぞ」

 だが、ここでも邪魔が入った。

 コンピュータールームの天井から、するりと姿を現わし、降りてきたのは、『例の男』であった。

 そう、アンセムの城で見た13機関のメンバーだ。

 額に大きな傷のある、冷たい目をした男……

 

 リクがするどく、

「サイクス!」

 と、叫んだ。