〜 Amusement park recreation 〜
〜神羅カンパニー・シリーズ〜
<3>
 
 セフィロス
 

 

 

 

14:30

 

「……未確定の要件はそんな様子だな。日程が近づいたら、調査部門のほうから書類が回ってくるだろう」

「あー、わかった」

「それから、セフィロス。明日、明後日の部門別合同会議だが……」

「…………」

「おい、ふてくされるな。仕方がないだろう。これも我々の大切な仕事だ」

 会議嫌いのオレをアンジールが宥める。

「別に何も言っていないだろ」

「やれやれ。前回のように、ふたりして居眠りなんぞしないでくれよ」

 アンジールは、オレと、そのとなりのデスクに居るジェネシスに向かって、溜め息混じりにそう言った。

 むすっと黙り込んだオレとは対照的に、ジェネシスは本のページをめくりつつ、薄く笑って、「わかってる」と返事をした。

 

「だいたいな、会議なんつーものを、二日に分けてやるというのが間違っているのだ」

 むくれついでに、そう言ってやった。

「仕方がないだろ。初日はソルジャー統括管理部との会議だ。今年の分のデーターに基づき、調査区域の選定や区域LEVELの調整がある。人員の補充要請も……」

「ああ、そいつはいい。オレが言っているのは二日目のほうだ」

 いちいち『私』と言い直さず、普通に文句を垂れる。クラウドが居ないときに、紳士ぶりっこは無意味だ。ましてやこいつら相手に。

「い、いや、だが二日目は……」

「上層部との会合のほうだ。あんなの書類一式配って目を通しておけで済むだろ。通り一遍の報告を延々数時間……仕舞いには皆で会食……サイアクだ」

 オレの物言いが可笑しかったのか、となりのジェネシスが本を読みながら、プッと吹き出した。

「おまえだってそう思うだろ」

 気取ったツラに向かって同意を求める。

「……ああ、まぁ……な」

 パタンと本を閉じると、ジェネシスは言葉を続けた。

「二日目のほうは、部門別のトップと副社長も参加するから。親睦会的な要素もあるんじゃないか?」

「ケッ、くだらん!」

 まさしくジェネシスの言うとおり、二日目はトップ会談……いや、トップ会食みたいなもんだ。

「俺はアンジールさえ、出ていれば何の問題もないと思うけど」

 ジェネシスが上手いことを言い、オレも即座に同意した。

 苦虫を噛みつぶしたアンジールのツラ……考えてみると、オレたちといるとき、いつも彼は渋い顔をしている。

 

 

 

15:00

 

「バカを言っているな。むしろセフィロスとジェネシスこそ、必ず同席させたいという意向があるようだぞ」

 と、アンジール。オレとジェネシスだと、最悪コンビと名高いオレらか?

「ハァ? どこのどいつだ、そんな……」

「副社長じゃないか?」

 あっさりとジェネシスが答えた。

「ルーファウスか。最近、やたらと、あいつとタークスの姿が、ちらついているな」

「副社長はトップソルジャーが、自分にかしずいているのが心地いいんだろう。特におまえのことは好みのようだし」

 フフフと低く笑いながら、ジェネシスがつぶやいた。他人事だと思ってやがる。

「あんな鼻持ちならない高慢ちきは好かん。クラウドのほうがずっと可愛い」

「……ああ、あの金の髪の小さな子か」

「手を出すなよ。オレのだ」

「素直ないい子みたいだな。あまり話したことはないが」

 オレの牽制球を適当にかわしやがると、ヤツはふたたび読書に戻った。いつもいつもワケわからん小説なんぞ眺めてやがって。コイツ、変態なんじゃなかろうか。

「ゴホン!おい……おまえたち。一応、俺が居る前で副社長の悪口はやめてくれよ。まぁ……あの人だって、それなりにやっているじゃないか」

 くそ真面目なアンジールが、一応異議を唱える。

「仕事をしているか否かという問題じゃない。オレが気に入らないのはヤツの性格だ!」

「セフィロスは率直だな、ふふ……」

「おい……おまえたち……」

「ケッ!」

「フフ……」

 二者二様に言葉でなく態度に現すと、苦労性の男はぐったりと肩を落とした。

 

 

 

16:00

 

 よし! やるべきことはすべて終えた。

 必要書類の提出も……ああ、まぁ、適当にサインしただけだが、どうせ後でアンジールが確認するだろ。

 続きは部屋でやると言い残し、執務室を退出した。

 アンジールが何か問いたげな面もちで、こちらを見ていたが無視だ。

 ジェネシスだって、さっきからヘンな本読んでるだけだろ!注意したいならアイツから先に言ってやれ!

 ぶっちゃけ、ジェネシスはあまり多くしゃべらないから、オレよりも少しだけ真面目系に見えるだけだ。オレに言わせりゃ、あっちのほうがタチが悪い。

 

 個人執務室には寄らず、そのまま別フロアの私室に戻る。邪魔な書類だが、目を通さぬワケにはいかないから、夜にでも斜め読みしておけばいい。

 書類をテーブルに放り出すと、すぐに私室から廊下に戻る。

 さらに目的地へ足を進めた。

 当然、クラウドのいる書庫にである。