〜 Amusement park recreation 〜
〜神羅カンパニー・シリーズ〜
<6>
 
 セフィロス
 

 

 

 

19:30

 

「セフィロスは機嫌が悪いぞ、と」

 赤毛タークスが、ぼそりとささやいた。

 ムカツクことに、この男はけっこうクラウドと親しくしているらしいのだ。

 タークスというセクションは、いわゆる特殊諜報員的な要素が強く、エリート社員と認識され、一般の兵士たちとは乖離した立場にある。つまり日常での接触が少ないから、あまり上下関係を意識することが少ないのだろう。

 それゆえ、クラウドとも懇意になったらしい。

 そうそう、赤毛のタークス、こいつの名はレノという。

 

「……当然だろ。晩飯くらい、気の合うヤツと食いたい」

「あっははは」

 ジェネシスが笑う。

 あまり自ら口火を切ってしゃべることのないジェネシスは、はっきりとしたオレの物言いが面白いらしいのだ。

「セフィロス、我々とではつまらないというのかな?」

 とルーファウス。

「……仕事ならばかまわん。だがプライベートは放っておいてもらいたい」

「私はプライベートとして、君と一緒に食事をしたいと思い、誘ったのだが……」

「迷惑だ」

 一言のもとに却下したオレに、さすがにツォンが険しい眼差しを投げつけてきた。

「そうか……それは残念だ」

 言葉ではそう言いながらも、目は笑っている。

 副社長というおのれの優位を充分に自覚しての発言だろう。こいつのツラは悪くないと思うのだが、この根性が気にくわないのだ。

 

 

 

20:00

 

 三十分も掛けずに、さっさと食い終え、退席する。

 さすがにルーファウスも、退出の時間を咎めたりはしなかった。

 クラウドの部屋に行こうかとも考えたのだが、ザックスと一緒に外出しているはずだ。となれば、みやげを持って訪ねても不在……

 オレは虚無の時間に溜め息を吐き、さっさと自室に引き取ることにした。

 ひとりきりで、過ごす夜は、味気なくはあったが、気に入らない連中のツラを見てメシを食い続けるよりはマシと思えたのだ。

 

 

 

20:10

 

「いよッス、セフィロス」

 踵を返したオレを、軽薄な声が引き留めた。振り向かずともわかる。こんな軽々しい輩はタークスの中でもひとりしかいない。

「なんだ、赤毛。オレは機嫌が悪いんだ」

「レノって呼んでくれよ」

「フン」

「まーな、機嫌悪くもなるわな。明日、明後日って、カン詰め会議じゃなァ」

 こいつも確か参加予定はずだ。タークスからはツォンを筆頭に三名ほどが出席する。さしずめ、巨躯のハゲとこの男あたりが該当するのだろう。

「俺だって、週末くらいはのんびりしたいもんだぜ」

「よくも言う。タークスの中で、一番さぼりの多い貴様が」

「さぼりじゃねー。自主休暇だ」

「どうでもいい。とにかくオレは機嫌が悪いんだ。部屋に戻る」

 そう言い置くことすら煩わしげに、オレは無愛想につぶやいた。

「クラウドは?」

「……軽々しくアレの名を呼ぶな」

「だって、俺、一応、ダチだもん」

「馴れ馴れしくクラウドに近づくなよ。貴様の軽薄病が、あの子に感染っては大事だ!」

「言ってくれるなァ〜」

 オレ様のキツイ物言いも、モノともせず、レノのヤツはヘラヘラと笑った。ヤツのこういった性格は、多少ジェネシスと被る部分があるように感じる。

 

 

                                  

20:30

 

「しっかし、クラウドも可哀想にな」

 聞き捨てならないヤツのセリフに、再度、踵を返した足を元に戻した。

「なんだと?何が可哀想なんだ。あの子に誰かが……」

「ちがうちがう、ホントはアンタと一緒に出掛けたかったんだろうと思ってね」

「……なに?」

「明後日だよ。シーサイド・ロードのあっち側に出来たアミューズメント施設だろ? なんとかテーマパークってヤツ」

 そういえば、あの子が昼飯のとき、それらしきチケットを握りしめていた。

 クラウドはレノとも付き合いがあるようだから、きっとコイツにその話をしたのだろう。

 

「まぁ、トップソルジャーさんがお相手なら、色々ガマンせにゃならんことも多いわなァ。つらいよなァ、クラウド」

「……てめェ、何が言いたい」

 地の底を這うようなオレの問いかけに臆することもなく、ヤツは見てくれどおりの軽薄さでベラベラと捲し立てた。