〜 Amusement park recreation 〜
〜神羅カンパニー・シリーズ〜
<7>
 
 セフィロス
 

 

 

 

20:40

 

「決まってんだろ。アンタが想像している以上に、クラウドはアンタとそのまわりに気を使っているってことさ。本当なら休みの日なのに、会議に行かなきゃならないアンタに、わがままをいうこともなく、同僚には愚痴をこぼすどころか、特別扱いと思われないように気を配って……俺なんかにゃ、ぜってー無理。」

「…………」

「せっかく『セフィとホラーハウスに入るの!』とか言っていたのになぁ、可哀想によォ」

「テメェ!黙って聞いてりゃ何が言いたいんだッ! オレだって、せっかくの休暇はあの子の側に居てやりたいと思っている!決まってんだろッ!」

「まぁ、そりゃそーだわなァ」

 くそ、レノのアホめ!人の気も知らずに勝手なことを言いやがって!

 あの子が修習生を終えてからこっち、なかなか思うように時間が取れなくなっている。仕方がないことではあるが、一緒に居たい気持ちを抑えるのに、どれだけオレが苦労しているか……!!

 クラウドには秘密にしてあるが、いい加減、我慢に限界が来て、人事に庶務課に異動させろと申告した。だがなぜかそこの次長が、泣いて取り下げを促しに来やがり、せっかく提出した申請書を戻されてしまったのだ。

 オレだって社員なのに……異動申告も認められんというのか!? 

 仕返しに、労働基準監督署に、極秘事項をタレこみに行ってやろうとしたが、アンジールに止められた。

 ……ったく、不愉快きわまりない!!

 

 

 

20:50

 

「おい、なに黙りこくってるんだよ。また変なコト考えないでくれよな。アンタ、行動が突飛だからなァ」

 ツォンあたりから、オレの異動願いの話を耳にしたのだろう。

 敢えて、無駄な忠告をするレノ。

 だが、そんな話はどうでもいい。

 想像力たくましいオレの妄想頭脳は、既にクラウドと行くはずだったアミューズメント施設へ飛んでいた。 

 

 ホラーハウス……お化け屋敷か。

 ……きっと、化け物が出る施設ならば、照明は最小限に落としてあるだろう。

 クラウドとふたりきりで暗闇の中……身体を寄り添わせて歩くことになる。いや、あの子は怖がりだから、オレの腕にしっかりとしがみつくに違いない。

『セフィ、ギュってして! ちゃんと抱っこしててね。手、放さないで!』

 とかなんとか言って……あの豆柴のような小さな身体を、ギュウギュウと押しつけてくるのだ。

 密着した部分から熱が伝わって、互いの興奮を持て余し気味に、そのままとなりのホテルへ……

 ああ、いやいや、それでは性急に過ぎるな。

 オレ……私はあくまでも紳士的に、大人の男として、あの子の手本にもならねばいけない……

 

 

 

20:55

 

「……あの、スイマッセン。顔……にやけてますけど。キモイんですけど……」

 ああ、いかん。ついつい暴走してしまった。

 レノ相手だと、だらしなく気が緩む。別にこいつに気を許しているというわけではない。取り繕う必要がないほど、どうでもいい人物なのだ。

 

 ここのところ実際多忙で、クラウドと外泊する機会も減っている。オレの部屋でもいいのだが、シチュエーションが変わらないせいか、ややマンネリ化に陥っている。

 そういった意味合いでも、仕事の重圧から解き放たれ、ついでに人目も気にせずに、欲望の赴くままに楽しめる時間が欲しい。

「ちょっ……セフィロスってば」

「別になんでもない。おまえの気のせいだろ」

 オレは素っ気なく言い放ったが、内心の昂揚は収められそうになかった。

 

「おい、タークス」

「……レノだよ。っつーか、ミッションで何度か一緒しただろ?」

「ああ、レノ。おまえ、明後日の会議に出るのか?」

 つとめて平静を装い、赤毛に訊ねる。

「出るよ」

 あっさりとヤツは答えた。

「オレとルード。貧乏くじだぞ、と」

 やはりツォンから要請があったようだ。

「明日の部門別もウゼーけど、明後日はもっとキツイよなァ。ぶっちゃけつまんねーし」

「そのとおり。あんなのは会議だの会談だのってんじゃない。ただの会食だ」

「そーそー、上層部のオヤジのハゲづら見ながら、メシ食ってもなァ。食欲がわかねェぞ、と」

 あ〜あ、と溜め息をつきながら、背伸びをし、コキコキと肩を鳴らせた。こいつもデスクワーク系は苦手な男と見えた。

「……おい、レノ、協力しろ」

「は? 何だよ、いきなり」

「シッ……こっちだ」

 顎をしゃくって、場所の移動を促す。うかつにもオレたちは、副社長室前の廊下で話をしていたのだった。